ハワイでの研修からの報告が続きます。
米国では会計事務所でも、M&Aが頻繁に行われています。
EA(米国税理士),IRS(米国内国歳入庁、国税庁部門も)が試験を行い合格者を認定。
IRSで退官直前の5年間に税務監査などの部門にいた職員は、この資格が付与される。
その元連邦税務官らも、日本同様、米国税理士として、会計事務所を開業する。
その際に引退するEAなどの事務所を購入するケースが多い。
現在カリフォルニアEA協会の役員を務めるk女史も、まさにそのケース。
彼女はIRS退官後、これまでに2か所の事務所を購入し、職員も5名に増員。
パートナーはご主人で、ご主人はIT部門と取り仕切っている。
事務所購入の価格は、様々で、彼女の場合、1件目は年商の2年分。
2件目は、事務所の売り上げとその内容が良かったということで、年商の3年分。
お顧客のほとんどが、所得税の申告を依頼する年1回のお客さん。
その他は、スモールビジネスのお客で、こちらは記帳代行も行っている。
報酬はすべて業務時間で決まるので一概に言えないし、担当者によっても変わる。
経験の少ない職員が担当すると、1時間80ドルから彼女の場合で300ドル。
簡単な申告書の作成なら1時間以内に出来上がってしまうので、報酬も少なくなる。
顧問料という概念がないので、仕事をしなければ、一切請求は出て来ない。
それだけに、1月15日からスタートする確定申告シーズンだけ、多くの収入があることになる。
というものの、税務調査の対応などで申告期以外も収入の道はある。
そこで、どれくらいの収入があるのだろうか。
女性EA二人の事務所で、確定申告書の作成だけのお客さんは1000件。
4月末まで多忙な日々を過ごすころになるのだが、その収入は3000万円を超える。
その代りこの3カ月間は、一日13時間は仕事にかかりっきり。
それもお客さんとの問答に費やされるので、そのストレスも相当なもの。
事務所2か所をM&AしたK女史の場合は、もう少し余裕があるが、シーズン中は多忙を極める。
それだけに、年齢と共に引退していくプロが多いところから、M&A市場は活況。
日本では考えられない価格で取引されているのも、分かろうというもの。
2年分の年商額で取引しても、5年もしないうちに償却できるという。
しかし、体が資本。ストレスに強い人でなければ、長くやれない職業かもしれない。
日本は良いですね、その点は?
事業承継支援室長
大滝二三男