先日も高齢の先生からご相談がありました。
いわく、息子も会計士として都会で働いているが、跡を継いでくれるよう話している。
しかし、田舎に帰って、税理士として生涯過ごすつもりはない。
併せて、子供の教育もあり、都会を離れるわけにはいかないし、税理士に魅了を感じない。
答えはすべてノ-だという。それでも、一代で築き上げた事務所を他人に渡したくない。
お客さんも息子が、後を継ぐものだと信じている。
会えば、「息子はいつ帰って来るんだね。先生もいい年だから、こちらも不安だよ」と言う。
皆が皆、そんなお客ばかりではないが、息子さんがついでくれれば、お客も一安心。
そう考えると、今回の帰省の際にもう一度、話し合うことにする。
それでもダメな場合は、良い人を紹介してもらいたい。
息子さんが会計人になったことで、跡取りができたと喜んでいたが、今は悩みの種。
これこそ、親父の背中を見ていたが、結果、跡を継がない典型的なパターン。
このようなケースで、説得されて故郷に戻る例はほとんどない。
これが東京の先生であれば、ほとんどの場合事務所を引き継ぐ。
宮仕えしているより、経営者として働くことに生きがいを見いだせるし、お客も引き継げる。
お客が減っていると言われるが、まだまだ経営を強化できる内容も多い東京。
しかし、地方都市ではそうはいかない。後継者がいなくて廃業する一般企業も多い。
それだけに先行きが見えないことからも、田舎に帰って跡を継ぐ選択ができにくい。
これまでの130件を超える仲介事例でも、このパターンは1割近くある。
今後もこのようなケースは多くなることはあっても、少なるなことはないだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男