このところの税理士事務所への人材補給は、非常に難しい状況になっている。
ハローワークに募集をかけても、”ろくな人”は来ないという。
しかし、税理士事務所が職員募集のために資金を投入する例は、非常に少ない。
たとえば、税理士試験後に予備校が実施するリクルートフェアへの参加。
有力どころの税理士法人のブースには、多くの若者が集まる。
しかし、職員数が10人にも満たない事務所は、このフェアにも参加はしない。
人伝、ないしはハローワークがせいぜい。かろうじて、新聞広告での募集。
これでは人は来なくなっている。
先日も地方の有力どころから、数年前までに儒数人の応募者がいたのだが、今回はゼロ。
こんな状態が続いたら、仕事があっても、こなせないから、顧問先を減らさざるを得ないという。
一から十まで一人の従業員がこなす事務所では、従業員一人が辞めれば、即顧問先の減少。
顧問先に毎月伺い、社長の話を聞き、経理資料を持って帰り、パソコンに向かう。
記帳代行業務をこなし、そこから決算、税務調整そして税務申告書の作成。
当然、経営相談等にも応じなければいけないから、税務だけにかまけているわけにもいかない。
とはいえ、ほとんどの顧客が、記帳と税務申告への期待だけに、それもおろそかにはできない。
しかし、入力業務までもすべて一人でやらなければいけないというのでは、先は真っ暗。
担当者にも夢が描けないハズ。クラウドの世界で活躍するはずのに、それもできない。
もっとも、人材を獲得するのに経費・資金を払うことができない所長に、それは無理。
今や、人材補給もしっかりとお金を払う時代、優秀な人材はハローワークには行きません。
その辺を理解できない経営者には、これから大変な苦労が待ち構えているはず。
優良紹介業者はごくごく一部。
人材を回して儲けようなんて、そんな業者は駆逐されます。
採用した優秀な人材が短期間に辞めてしまうと嘆き、業者のせいにするのはいかがなものでしょう。
良くある話ですが、とにかく、優秀な人材は辞めません。
でも、人間同士が働く世界ですから、優秀な人材も時には網にかかるはず。
その時にしっかり自社に根付かせることができるかどうか、所長の手腕にかかっているでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男