昔、勤務税理士と事務局長役の職員が結託し、所長先生から事務所の経営をノットたことがあります。
実はこの話、所長先生から、勤務税理士に譲りたいが、その交渉をしてほしいとの要請で知ったことです。
事務所の規模は売り上げ6千万円ほどでした。従業員は7名で、勤務税理士は一人。
その税理士も登録間もない状態で就職し、先生の指導で、税理士業務も任せられるまでになりました。
その間、職員の勤務条件の改善などで所長とやりあっているうちに、事務局長とも連携。
自らの給与なども大幅アップをすることに成功。先生は任せたばかりに、実権を失ってしまったのです。
気の優しい先生で、自分は交渉できないので、弊社に依頼が来たのです。
そこで、交渉役を任されてみると、勤務税理士と事務局長は、先生の経営能力を全否定。
しかも、自分たちが稼いでいるかの如くの言いたい放題。
先生を追い出しかねない勢いで、全職員が自分たちについていると、まさに傲慢そのもの。
交渉内容を先生に報告すると、それでも何とか交渉をまとめ、対価を獲得してほしいとの一点張り。
職員たちとともに勤務税理士が独立してしまえば、事務所自体が存続できなくなることは明らか。
そこで、先生の了解を得て、先生が”給与”として手にしていた金額の5年分で手を打った。
もちろんこの金額は、年商には遠く及ばないが、それ以上の金額では勤務税理士側は、答えはノー。
今は高齢の先生も個人事務所として、細々と税理士活動をしているが、昔の姿は見られない。
引き継いだ勤務税理士の事務所は、昔の事務所と同じところでえいぎゅを続けている。
お客さんにどのような説明をしたのかは定かではないが、一抹の寂しさを感じた事例であった。
こんなことがならないように、先生頑張って、後継者対策をしっかりしてください。
後継者を育てることができなかった先生は、変な税理士を引き込んで、乗っ取られたら大変です。
ご家族のことも考えるならば、正式な事業承継契約をしっかり行うよう、努力してください。
事業承継支援室長
大滝二三男