個人経営の税理士事務所の場合、職員は所長の目にかなった人が雇われる。
所長にしてみれば、相性の良くない人を選んで、苦労したくない。
当然と言えば、当然の話。
気性の激しい先生なら、自分に反抗すると思われる人は願い下げ。
職を求める人にしても、所長と同じ思い。
気があって、職員として採用し、それの応えて就職し、仕事が始まる。
外回りの業務を担当する職員は、所長の代理として動き回る。
いわば、関与先にとっては、所長との橋渡し役が担当職員。
それだけに、担当職員からの報告が所長には、貴重な情報となる。
゛報連相゛という合言葉を標語としている事務所も少なくない。
職員からの報告、連絡そして相談がない所長は、職務怠慢?
そういった行動をほったらかしにしている事務所で、事業承継問題が発生。
゛自由に゛仕事をしていた職員には、環境が変わることには抵抗が強い。
自分流の業務展開が否定される不安も出てくる。
新しい経営者は職員の質がどのようなものなのか、一番知りたいところ。
譲る側の先生は、引き渡す職員の悪口は言うはずがない。
従順な職員、普通の職員であれば、雇用が継続されればそれでオーケー。
しかし、一言持つ職員は所長からの説明には、反対を表明する人も。
経営者である所長にしてみれば、事業承継を決めるのは自分の仕事。
職員に反対されたから、事業承継をやめるつもりはない。
反対する職員の意見で多いのが、「先生だから仕事を続けられた。」
さらに、「先生に雇われたので、ほかのひとはみとめません。」
こうなると、この職員の場合、新しい事務所での立場はなくなります。
ただ一言多いだけという人もいますから、判断は微妙。
最終的には辞める人、4、5人の事務所で1人のケースがほとんど。
引き受けてが仕事ができなくなるほど職員が辞めてしまう例は、まずない。
辞めるときにお客さんを持っていくこともあるが、損害賠償の対象。
就職時に誓約書で、このような行為に対して、警告を発している事務所もある。
最近はお客を持っていく行為事態は、かなり減少しているのも事実。
顧客を持ってくる職員を採用する税理士も、将来自分もやられる心配がある。
そうなる前に雇わなければ良いだけ。お客はやはり自分で営業するのが筋。
起業が少ないだけに、業務を拡大するのも難しくはなっている。
事業承継の受け手となるのも一手だが、引き受ける職員にも期待がかかる。
自分で選んだ職場が、新しい経営者を迎える職員にも期待と不安が。
非雇用者にとって、自分の仕事を守るためには我慢も必要か!
事業承継支援室長
大滝二三男