こんな相談をいただくことがあります。
後継者にいない事務所にとってみれば、非常にうらやましい環境ですね。
でも、その後継者候補がなかなかうんと頭を縦にふらないので、相談となったわけ。
勤務税理士はいるけれども、どう考えても経営者としては考え物だ。
これもよく聞く話です。所長から見ると、未熟だというわけです。
これはしょうがない話です。
よく例に例えられるのが、企業経営における社長と専務の情報量の違い。
経営判断を最終的に下すのは、もちろん社長。
ですから、取引先も重要な話は直接社長にしたいと考え、その通りにする。
結果、専務には判断済みの話が社長から伝えられ、経営判断はできない状態に。
これが長年続くと、専務も経営判断は社長任せで、専務は宙ぶらりんの状態に。
これと同様に、たとえ副所長役を仰せつかっている勤務税理士も経営にはタッチせず。
長年そのような状態にある勤務税理士が、ある日突然、承継頼むと言われても困る話。
税務のプロとして専らプレーヤーに徹してきただけに、戸惑うばかり。
言ってみれば勤務税理士の方が気が楽。所長としてどれほど働けるか不安がいっぱい。
60近くになって、頼むと言われても、自分の引退の時期もすぐそこに見えてくる。
こうなると、チャンスを生かそうという気にはならないだろう。
40代後半か、ぜいぜい50代の前半でなければ、所長になるのは難しい。
先生が80歳を超える様であれば、勤務税理士も60歳代かそれに近い人。
お客さんも年を取っているから、将来的な明るい光は見えてこない。
所長が事業承継を考えているなら、承継先でも勤務を続けようと考える。
そして、承継先の経営者と馬が合わなければ、辞めて気楽な個人事務所でのんびりとする。
若手では、まだ未熟と敬遠し、歳を取れば後がないと相手から断られる。
上手くいかないものですね。相談の内容がまさにこの状態で、最終的には法人が引き受けることに。
勤務税理士もそのまま勤務税理士、所属税理士を継続中です。
事業承継支援室長
大滝二三男