3年前、70才後半の先生から相談が来たことがあります。
地方都市でしたから、飛行機での出張でした。
民家の一部屋が事務所になっており、応接は奥の自宅で。
お茶を出してくれたのは、女性の職員さん。
自宅なので、奥さんが対応されるのかと思ったのですが。
1日も早く、承継を探したいというのだが、その理由は徐々に。
これまで歳と共に仕事を減らし、職員も一人で十分にこなせる状態。
先生も体調も万全ということだった、のんびり続けることも可能。
後継者と考えていた娘さんが、若くして資格を取得。
将来を悩むことはなかったのだが、その娘さん、東京で嫁に。
それも税理士試験の予備校で知り合い、共に試験合格。
なんと、地元に帰るはずが、東京で事務所を開いてしまった。
子供も生まれ、その孫たちも高校生と中学生。
こうなると、事務所を引き継いでもらうのは不可能に。
それ以上に問題なっているのが、実は奥さんの認知症。
先生が面倒を見なければ、日常生活は出来ない状態になる日も近いという。
それだけに、早急に承継先を探す必要があった。
先生にも当てがないわけではなかったが、相手に直接話すことが出来ない。
そこで、直ちに仲介役を買って出た。結果は、オーケー。
先生もしばらくは事務所を閉めず、奥さんがを見守りつつ、仕事を継続。
女性職員は承継先の事務所に移り、これまで同様の仕事を継続。
顧問先にも奥さんの面倒を見るためと説明し、了解も得た。
まさに老老介護、そのもの。
3年後の今はもう仕事を継続ことは不可能に。
誰もがいく可能性のある道だが、自分だけは大丈夫と考え勝ち。
歳と共に、終活で自らやっておくべきことが実はたくさんありますね。
定年のない職業だけに、公私ともにけじめをつけることも必要ですね。
事業承継支援室長
大滝二三男