老妻から、この十年近く言われ続けたという税理士さんからの連絡。
事務所を閉めるにしても、お客さんの迷惑や職員の生活を考えると決断ができなかった。
80歳後半の老先生からの連絡で、背中を押してもらいたいという要請だ。
職員の中に資格者がいるので、後継者にすべきかどうか迷い続けているという。
というのも、20年以上も勤め、社内結婚をした職員も自分の子供のようにも感じている。
そしてその子供たちも孫のような存在だけに、後継者候補から外せない。
しかし、この職員はまだ試験挑戦中で、合格への道筋はいまだはっきりしていない。
資格者はその後輩で、女性職員。この人が所長に適任かどうか、まだ迷う。
さらに、先輩職員が資格を取得した時に、この女所長との間で混乱は起きないのか?
その辺の判断が老所長にはできない。いや、判断したくないことなのかもしれない。
そこで、弊支援室の経験から、いかなる判断を下すべきかという相談になったもの。
これまた難しい判断を迫られたのだが、先輩職員を使う度量が女性税理士にあるのかどうか?
はたまた、先輩男性職員が資格を取得した時に、共同責任者として経営を担えるのか?
老先生が第一線から離れ、経営責任を持たされとき、女性税理士が先輩職員を尊重するか?
何時までも先輩面をされて嫌気がささないのか?
後輩に追い越され、試験にも合格できないままに、生活のためだけに勤務を続けらるのか?
いずれにしても、資格ビジネス故に資格者でなければ後継の所長には就任できない。
当面は老所長が顧問としてその調整役を務め、男性職員の試験合格の見届けることに。
これで後継者問題が、一件落着したわけではない。問題はさき起こり。何とも難しい案件であった。
事業承継支援室長
大滝二三男