日本の税理士の先生方は、グローバルという表現を抵抗があります。
顧問先が次々と海外に製造拠点を展開するようになったとき、彼の地で税務サービス提供できるでしょうか。
もちろん、答えは「YES」であり、「NO]でもあります。
例えば、アメリカの場合、誰でも税務申告の代行はできます。
だから、税の専門家はいないかというと、実は、米国の国税庁が行う試験に合格したプロがいます。
彼らは資格がない人に比べて、高額な税務申告代行料を取りますし、納税者の代理もします。
日本の税理士と一緒です。違うと言えば、試験が税理士試験に比較して、各段に易しいことでしょう。
米国の税法を理解し、大学の試験の合格できる人であれば、ほとんどの人が合格できるでしょう。
日本の税理士試験のように、税理士業界を守るような試験制度ではありません。
多くの移民など、字も書けない、読めない人でも申告が義務付けられている米国ならではの、制度でもあります。
現実に日本人で、この試験に合格し、申告業務を代行している人がたくさんいます。
でも、これは米国だけの制度であり、決してグローバルではありません。
税金はその国々の政策的なものですから、会計基準のような国際化、グローバル化は必要ありません。
その国の税金を正しく、申告、納付する手伝いができる専門家でいいわけで、世界基準など必要ありません。
お隣中国では、公認会計士の監査報告書がなければ、税務申告書も受け付けてもらえません。
国際的な相互承認のCPA制度ですが、中国では日本人のCPAだけでは、事務所も開けません。
企業の場合は、今は独資も可能ですが、会計分野では、これは認められません。
したがって、中国でも税務は国内だけの基準で、税理士に相当する専門家も、ほとんどが税務当局出身者。
いな、二股で仕事をしている豪傑もいましたから、まさに国家のしもべとしての、税務の専門家でした。
グローバルとは程遠い存在でしょう。
もちろん、日本の税理士には、彼の地の税務を代行することはできませんが、相談には乗らざるを得ません。
かの地で、税務を相談するとなると、相手はCPAですから、その費用もばかになりません。
企業経営者としては、一番の安心が顧問税理士に聞けること。
そういった意味では、税理士はグローバルな知識と見識を持っていないと、今やトップを走ることは不可能。
そんな嫌な時代を迎えてしまったのが、大国日本の税理士さんたち。
積極的に動けるのは、はたして40代?50代?それとも、60代?でしょうか?
大波の中に漕ぎ出すことができるのは、やはり、40代まででしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男