昨日書いた高齢の税理士事務所を縮小する方法は、ごく一般的なもの。
自分の事務所ではサービスが十分できないから、良い先生を紹介する。
こう言えば、お客さんも納得し、その配慮に感謝されるだろう。
しかし、数年前の事例だは、そうとは言えないものがあった。
長年やとってきたベテラン職員に対して、指導ができにくくなった。
担当の顧問先と共に、ベテラン職員を引き受ける事務所を希望。
よくよく訊いてみると、なにやらその職員の日頃の業務内容が悪いという。
それなら充分指導し、間違いのない業務をやらせれば良いだけの話。
税理士として職員の指導監督は、当然の義務。
その職員は決算などの処理も遅く、申告期限ギリギリまで作業が進まない。
税務申告書の作成も当然、申告期限直前になって、所長の未決済箱に。
これでは所長がチェックする時間もなく、めくら判になってしまう。
その為、所長は深夜まで総勘定元帳までひっくり返し、検収する。
こんなことが続き、その職員への対応に疲れ切った結果の相談。
職員の不良行為ということで、退職も迫れるのではないかとも考えられた。
しかし、労働行為で監督官庁とやりあいたくないと、これには消極的。
コストパフォーマンスが悪い職員、厄介払いをしたい。
そこで、担当の顧問先と共に他の税理士に、渡してしまおうと考えたわけ。
仲介者として、紹介する職員の質が悪いことを知らんぷりはできない。
相手に承継理由をはっきりさせると所長に迫ると、それは困る。
なんとか内密にできないかとの要請。当然、弊社の答えはノー。
こうなると、両者の間の溝は埋まらず、仲介を断ることに。
漏れ聞こえてくるところ、現在もその職員は在職。
所長もがしっかり指導・監督しているかどうか、定かではありません。
本当に様々な相談が来るものですね。
事業承継支援室長
大滝二三男