ダブルマスター制度が改正され、会計及び税法の各一科目は試験合格が必要になった。
この制度改正で、資格が取れなくなったダブルマスターも多い。
大学院の教授も、税理士資格者が多く出るかどうかでその講座の判定が下るという。
資格を取得できる院生が多く出るゼミの教授は、大学院当局の評価も高くなる。
その反対で、資格取得者が減れば、ゼミに来る院生も減り、結果教授の評価は下がる。
その結果として、任期を全うすることなく、クビになる教授も出てくる。
それだけに、教授もその対応に真剣そのもの。
これも、制度改正で大学院を修了すれば、無試験で資格が取れる時代ではなくなったため。
実際に、税理士資格を取るためには、大学院の修士課程は修了し、税法の一科目は試験合格が必須。
当然その前に大学院をクリアするには、修士論文で合格する必要があり、それをクリアするのが最低条件。
同時に会計部門の会計の科目も一科目は、試験合格が必須。
制度改正で資格取得も難しくなり、親が税理士だから、その子弟も必ず試験に合格するとはいかなくなった。
制度改正がいいか悪いかは別にして、単純に税理士の場合、子供が事業を承継できるかといえば疑問。
というのも、資格がなければできないのが、税理士事務所経営。
資格をクリアした人にしか許されていない税理士業務だけに、後継者ももちろん資格者しかなれない。
そして税理士の子弟が試験に合格し、税理士として十数年修業を経て、独立もする段になる。
税理士登録した子弟を見るとき、これで近い将来バトンタッチできると安心するわけだ。。
ところが、娘さんが資格を取得し、一安心というのもつかの間、税理士試験に苦労した男女が結婚。。
娘夫婦は婿さんの実家を承継することが決まっており、娘さんはそちらでともに税理士稼業。
こうなると、同じ地域であれば、互いに助け合うこともできるのだが、離れていればそれは無理。
娘さんには実家を継いでほしいという親の願いも、娘さん夫婦で事務所経営していれば、できない相談。
親の事務所を継いでもらえれば、と大学院にも行かせたのだが、期待通りに話は進まず。
税理士法人を創設し、若い夫婦で事務所経営をしてもらいたいと考える。
しかし、娘婿さんは自分の城を守り、義理の父親と衝突したくはないと、事務所承継には首をふらず。
結果として、父親の事務所は、他人の税理士法人と経営統合の道を選ぶことになった。
特に地方の税理士事務所では、息子さんが税理士資格と取っても、親元に帰らないケースが多い。。
昔ながらの記帳代行が主な業務という事務所では、なおさらその傾向が強い。
事業再生やM&Aなどに取り組んでいる税理士などの資格者には、従来型の記帳代行には拒否反応も。
それだけに親が経営する地方の税理士事務所を継ぐことは、彼らの将来設計には入ってこない。
事務所承継も、親父さんの古くからの友人の税理士にお願いしたらといった程度の冷たい反応。
そうなんですね。地方都市の有力税理士事務所になるよりも、首都圏の法人の社員税理士のほうが楽。
父親の経営する税理士事務所は、「国税OBに承継させたほうがいい」という、外野からの声もある。
実際、先生が作り上げた事務所が、どのような形で存続するか、ここ3年が大いに楽しみなところ。
事業承継支援室長
大滝二三男