ご自身一人でできる仕事を、可能な限り続けていく、そうおっしゃる先生も少なくありません。
現実に顧問先を減らす作業をお手伝いすることもあります。
数か月前にも、職員の生活を考えると、解雇することはできない。
そこで、担当する顧問先と一緒に引き受けてくれる事務所を探してほしいとの要請がありました。
先生は病を抱えているのですが、急に動けなくなるような状態では今はない。
しかし、動けなくなってからでは遅いので、動けるうちに職員の移籍先を決めたいという。
幸い、お相手が見つかり、現在はその移籍のための準備と顧問先への挨拶回りを行っている。
この事例は、実は数少ない事例の一つ。
顧問先を減らす一方、その担当職員にも辞めてもらうというのが一般的な解決策。
現実に昨年も80歳を超え自宅で仕事を続けていた先生は、残りの顧問先は5件のみ。
その顧問先も先生が税理士を続ける限り、帳面は付けてくださいと言う人ばかり。
訊けば10数年前から徐々に仕事を減らし、その際は一人、二人と職員には辞めてもらった。
最後は一人で、ボケないように仕事を続けてきたが、そろそろ限界と考え、弊社に依頼。
もちろん、いかに少ないお客さんでも引き受け手があれば、その仲介をするのが仕事。
結果、5件のうち、引き継げたのは2件のみだったが、老先生には感謝された次第。
引き受けた事務所でも新規顧客が少ないなか、貴重な顧問先を獲得できたと、これまた満足。
しかし、中小零細企業にとって非常に厳しい経営環境の中で、先生は辞めることはできる。
その一方で、中高年の職員が新たな仕事を見つけるのは、非常に難しい。
可能であれば、前者の先生のように、顧問先をつけて職員の移籍先を探すのはいい対策。
首を切られ、路頭に迷うより、従来通りの仕事が続けられる職員にとってもありがたい限り。
長く勤めてくれた職員にも感謝されこそすれ、恨まれることもない。
もちろん、決断するのは先生ご自身だから、他人がとやかく言うことではのも、事実。
事業承継支援室長
大滝二三男