扶養控除という言葉を使うことのない年齢になり、今では懐かしい。
子育てのころは今の児童手当などなかったので、扶養控除はありがたい制度だった。
今では、16歳以上で年間所得が38万円以下の親族に適用されるが、当時はゼロ歳から。
適用の範囲は大幅に狭まれたが、今朝の朝刊によれば、海外の親族まで控除対象に。
同紙によれば、会計検査院は平成12年分で扶養控除300万円以上の約1400人を抽出。
その9割を超える1300人に海外に住む親族を控除対象にし、その対象者数は平均10.2人以上。
国内でもテレビで話題になっている大家族でも、16歳以上の対象者がこんない多い例はない。
実際に控除対象者が一番多かったのが、実に40人。20~30人を抱える人が約30人もいた。
1300人の7割が控除額が所得を上回り、所得税ゼロ。所得が900万円を超えた人も17人いたという。
今回の調査の結果、これらの人は海外からの出稼ぎ外国人や国際結婚した日本人がほとんど。
出稼ぎに来た外国人は、家族を母国に残してきているので、稼いだお金の一部は仕送りに。
そのお金で家族が生活していることを考えれば、確かに扶養控除の対象ともとれる。
しかし、それを証明する手続きや書類の提出は、なんと義務付けられていないというのだ。
法律にない以上、納税者の言っていることを信じるしかないわけで、この辺も問題あり。
同様の事態が、1996年に米国でも判明したことがあり、直ちに法律改正が行われたことがある。
当時、米国でも所得税の申告に電子申告が採用され始めていた。
同国の所得税の申告に際しては、低所得者のほとんどが還付申告が主流。
申告書を書けないメキシコなどからの移民などを対象に、記帳代行会社が申告書を作成。
その際、還付金額相当額を代行会社の金融部門から融資し、その後国からの還付金は業者に。
申告してから還付までに1月以上かかることから、作成依頼時に代行業者に利子を払って即現金を手に。
電子申告が普及するまでは紙の申告であったので、扶養控除のチェックはほとんど後回し。
しかし、電子申告の普及段階で、あまりに異常な数の扶養控除が出ていることが判明。
そのほとんどが、家族を母国に残してきているメキシコ人の申告。
そこで行われたのが法律改正で、米国内の扶養家族だけに限定することとされた。
明らかに扶養している証明できる書類等が把握できるのであれば別だが、これには限界が。
やはり法律を変えいるしかないでしょうが、労働者不足に悩む日本の一面を移す姿ですね。
そんな人々の申告を税理士さんが助けているのでしょうか。
多分、企業の年末に配布される扶養控除の申告で済ましているのでしょうね。
それにしても所得1000万円を超える人が扶養家族の控除で、所得がゼロになるとはびっくり。
事業承継支援室長
大滝二三男