ここ数年、大きく伸びている税理士法人にお伺いしました。
開業15年の事務所ですが、5年前に比べると、5倍以上の規模に成長しています。
そのノウハウをお聞きすると、まずは”遊軍”を常に持っていること。
新卒(大学)採用を続けること。しかも、税理士志望者は取らず、総合職として採用する。
総合サービス業として位置づけ、会計・税務はあくまでも企業とのパイプとして、企業の発展に寄与する。
税理士志望者を新卒として取らないのは、資格を取るためだけに神経が集中し、視野が狭くなる。
そのために企業の総合的なコンサルとしての業務には向かない傾向になる。
併せて、資格をと取った場合には、独立することが考えられるので、会社への愛情が湧かない。
この事務所、新卒を5~6人採用し、3年を目途に育てるが、ほぼ半数は辞めていく。
この傾向は一般企業と同じで、何ら心配はしていない。辞める人への投資も残った半数の人への投資と考える。
そう、この事務所の場合、税務会計は一つのツールであって、目的ではない。
企業として成長させるためには、一般の法人と同じ立場で、経営を考えるのが基本になっている。
したがって、狭い視野の専門職は、中途採用でも構わない。必要な時に融通すればいいという。
税理士が辞めていくときには、辞めればいいと単純に考える。
同事務所より上のサービスは提供できないとの自信があるから、事実、お客さんも離れていかない。
職員が辞めても企業としての会計事務所が十分なサービスを提供していれば、その穴はすぐ埋まる。
マニュアルがすでに出来上がっているので、担当が代わっても同じことができる。つまり遊軍が控えている。
具体的な名前を言うわけにはいかないが、昨日もある先生をお連れし、研修させていただいた。
とにかくオープンであった。ノウハウは披露しても、同じができるかどうかは聴く先生の器次第。
職員は辞めるもの、そう考えていれば、打つ手はあるという、非常に楽観的な先生でありました。
こんな事務所の事業承継をお手伝いできたら良いな、と考えながら帰途に就いたのでした。
事業承継支援室長
大滝二三男