ある上場企業の経営者の話を聞く機会があったが、特に印象的だった一言。
税理士はP/L,B/Sを見ることで、経営者の姿勢がはっきり見えてくる。
中小企業がある程度の規模以上に成長できない理由が、ここにあるという。
経営者個人の損得のために経営を続けている限り、会社は一定規模以上にならない。
社員もそのことが分かっているから、社長が”発破”をかけても、動こうとしない。
社員が懸命に働いて獲得した利益が、経営者とその家族のためにだけ使われてしまう。
もちろん節税と称して蓄積された資金も、本来は税金として国のために使われるもの。
その資金が経営者個人の資産となる現実があり、そこに中小企業は成長できない原因がある。
実態を把握できる税理士は、経営コンサルの立場から、経営者に意見具申すべきだともいう。
企業が成長すれば、従業員も共に成長し、幸せな生活を送ることができるはず。
従業員が幸せになること自体が、企業の社会貢献であり、経営者としての責務だともいう。
それゆえ、税理士は中小企業を育てることのできる素晴らしい仕事だともいう。
だから、経営者の的確な判断の参考になるアドバイスができる税理士は、もっと意見を言うべきだ。
そうすることで、厳しい環境下にある中小企業が、社会貢献できる企業に脱皮できるようになる。
中小企業をよく知る上場企業の経営者から、税理士へのアドバイスを聞くのも貴重な体験。
人が幸せになることを願うことこそ、人間の道というのだが、はたしてわが業界はいかに?
事業承継支援室長
大滝二三男