突拍子もない儲け話には、時々騙されるのが税理士事務所経営者、つまり税理士さん。
若手の税理士も、儲け話をするなら税理士相手がいいんじゃない、と自らの体験を披露。
税理士は、少しばかり違った情報を流すだけで、その中身も吟味せず、お金を出すという。
ほとんど騙しに近いと分かっていても、言葉巧みに言われると、それを信じてしまう傾向があるという。
この30数年間でも、うまい話で、30万、50万、300万、1000万円を”騙し”取られた先生も少なくない。
なぜ、そんなに簡単に”騙される”のだろうか?
世の中にそんなにうまい話はないことは、顧問先からの情報で十分に分かっているはず。
それが御身に降りかかると、なぜか信じてしまう傾向が強い、それってなぜ?
少ない経験を言えば、税理士さんは、事務所経営に関して、同業者の話を聞かない傾向がある。
同じ税理士として成功者の話を聞く耳がないのか、自分の城が一番と考え、参考にしないのか。
ある税理士さんがセミナーの講師で、事務所経営を取り上げて時には、聴衆はほとんどなし。
相続対策などのテーマで話をしたときには、数百人集まったのに、この落差に唖然としてという。
そう、顧問先の企業の社長たちが、成功者の話を聞き、経営の参考にしようという姿勢と全く逆。
税理士として、信じてしまった”騙し”に、ほかの税理士に騙されるなよとはどうしても言えない。
そう、”騙し”情報が正確に流れないのが、業界の常識。
それもこれも、同業者で経営に関する情報の共有が、できていないため。
普通の企業経営者間の情報、同業者であれば、良しにつけ、悪しきにつけ、流れていく。
ところが、税理士業界では、経営に関しては、不思議なほど、ほとんど情報は流れない。
事業承継に関するものでも、同じ支部で情報が流れていれば、素早く対応できるはず。
これまた一部の所でストップしているのも、多く見受けられるのは、なぜだろう。
そういえば、「支部長は当面辞めない。おいしいから」と明言した人もいたのも事実。
棚からぼたもち式に顧問先を獲得するだけが、顧客の拡大策では、いかにもさびしい。
長く事業承継をお手伝いしてきたものとして、つくづく思う。
個人事務所の限界を乗り越え、経営者として職員の継続雇用などを考える経営者になってもらいたい。
事業承継支援室長
大滝二三男