個人の税理士事務所では、ほとんどの場合定年がない。
それも、事務所歴30年、40年といった事務所ほど、この傾向が強い。
税理士資格に定年という観念がないので、どうしても自分の事務所に目がいかない。
さらに、就業規則もなく、所長である税理士の一存で、すべてが決まってしまう傾向も。
そして、税理士事務所の職員も、一般企業のように定年まで働く人はごくわずか。
中には定年の年になる前に、先生が亡くなり、職場ごとなくなってしまうケースも。
これこそ悲劇だが、定年になる前に、所長と衝突をして、辞めてしまうことも珍しくない。
その一方で、先生が80歳を超えるような事務所で、年金をもらえる年齢になるまで頑張る人も。
つまり、現在だと65歳になって初めて受給資格が取れるので、そこまでは働きたいというもの。
現実に高齢の先生の事務所には、年金受給予備軍がかなりいる。
通常、経営者である税理士と職員との年齢差は、40代の経営者で10歳前後が一番の高齢者。
従って、先生が75歳以上にならなければ、職員は年金受給年齢にならない。
その間、実に30数年同じ職場・税理士にいるかどうかは、ほとんど予想はできない。
現在の定年65歳と考えると、今の若者たちがその歳まで、勤務し続けるかは大いに疑問。
とはいうものの、65歳の年金世代も今は元気そのもの、何かと病気もちも多いが、働く気は盛ん。
定年制をはっきりしておかないと、高給取りの元気な世代はいつまでも働き続けますよ。
現実に、先生より高給を取っている職員がいる事務所ほど、経営は四苦八苦。
多分、顧問先には就業規則などは作っておくように、助言しているでしょうはず。
まさに”紺屋の白袴”で、職員の就業規則がない税理士事務所は、少なくありません。
今後数年間で年金支給年齢は70~75歳まで伸びますから、今から定年制を整備すべきでしょう!
事業承継支援室長
大滝二三男