税理士さんは84歳、開業以来40数年間、一人事務所でコツコツと仕事を続けてきた。
事務所兼自宅のマンションも、築30年の4LDKも、最近のものより広い感じ。
お訪ねしたのは、一年前少し前。新緑が目に鮮やかな、そして木の香がやさしい季節。
先生は年齢とともに足が不自由となり、最近は顧問先回りも敬遠気味。
とはいうものの、記帳や事務処理はパソコンを駆使して、毎月の処理は万全。
しかし、ここ数年改正税法を理解するの時間がかかると、少々自信がなくなってきた。
それを見続けてきた奥さんと娘さんが、そろそろ退け時ではないかとそれとなく話を進めてきた。
同居している娘さんが弊社に相談。さっそく先生との面談と相成った。
その時点で、娘さんは顧問先数や売り上げなどは知らず、面談当日知ることに。
リビングにどんと構えた小柄な先生、まさに好々爺の姿そのもの。
にこやかに挨拶し、まずは先生の仕事ぶりなどをお聞きし、それとなく事業の実態を把握。
お客さんはほとんどが中小零細企業と、不動産収入のある個人が10件余り。
いわゆる、枯れてきた事務所で、年商も280万円といったところ。
しかも、そのうちの数件は、廃業を考えているという。
一件でも新しい顧客が欲しいというのは、どこの税理士事務所でも同じだろう。
そこで、ある先生を紹介。直接交渉に入ってもらった。
その結果、3件の交渉が成立。記帳代行から税務申告までを行うことに。
年間の売り上げは80万円程になり、新しい先生から相当の謝礼が支払われた。
当方はどうかといえば、手数料なし。老先生が仕事から解放されたことで良しとした次第。
実は娘さんも売り上げはもう少しあり、対価も得られるものだと思っていたのだが、これは期待外れ。
それでも、父親のお客さんの一部でも、若い先生に引き継がれたことで満足された。
奥さんも同様で、これから「お父さんもお客さんの心配をする必要がないので、一安心」
こんな事例もあるんですね。多分、ほかの業者では扱わないと思いますが、いかがでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男