税の専門家である税理士も中小企業と同じで、消費税にはシビアにならざるを得ない。
特に内税方式で報酬を請求している先生は、顧客へのお願いに苦労する。
今回の増税は、来年10月の10%への助走期間だけに、今回妥協してしまうと大変。
もっとも、連日テレビや新聞などで増税を多く取り上げているので、支払う側にもあきらめ感も。
しかし、今回の増税がもたらす不安感は中小零細企業にとっては、大問題。
仕入れには増税分が乗ってくるし、顧問報酬にも上乗せされ、利益は3%減の可能性も。
3%も利益がなくなると、事業をやっている意味がないと、廃業してしまう業者も出てくるだろう。
「弱きものは市場から去れ」とでもいうのかもしれないが、その言葉が税理士業界にも。
ちなみに、報酬金額を大幅に減額し、数をこなすことで、利益を追求しようという事務所も出てきた。
中には相続を中心にお客を集めている事務所が、その報酬を大幅に減額し、客を集めている。
一般の税理士では相続案件を処理するのは、数年に一度というのが普通。
しかし、相続に特化した事務所では、慣れたもので、他の事務所からのお任せ事案も処理。
こうなると、相続が不得手な税理士のお客に相続が発生し、その処理を他の事務所に委ねる。
結果として、その客が相続をやってくれた事務所に移ってしまうことも。
こんな競争に打ち勝っていくには、今回の3%増税分を負担せざるを得ないという事務所もある。
自分の首を絞める対策だが、来年のことを考えると、やってはいけない。
高齢の先生で、事務所を近いうちに閉める予定というならばいいが、そうでなければ増税分を転嫁。
納税者は分かっているはず、増税分は”あきらめて”払ってくれます。
事業承継支援室長
大滝二三男