ただし、M&Aは様々な思惑で行われますから、事前の調査が綿密に行われたかどうかです。
たとえば、隠れ債務があったにも拘わらず、その調査ができずに契約してしまった。
その結果、買収した企業が大きな債務を返済する羽目になり、投資金額が大幅に増加。
結果として、当初のM&Aから期待されるはずの利益が、吹き飛んでしまうケースも。
その一方で、企業の経理を見守る税理士事務所も、事業承継せざるを得ない所も多い。
助け舟を出した税理士さんとしても、承継の対価を超えた利益がスタート時から見込むのが普通。
この点では、顧問先である中小企業とは、あまりにも環境が異なっている。
税理士事務所は、まさに労働集約型の事業。
先生以上に、職員が顧問先とのコミュニケーションをとり、親密にもなっている。
その結果、コストは職員の給与が一番多く、事業承継でも問題となる。
事業承継する先生としては、コストカットを考えれば、従業員の給与を少しでも安くしたい。
ところが、コストカットをこの一年間じっくりとやり、事業承継の準備を進めてきた事務所もある。
しかし、ある程度規模の事務所を承継して、数年後事務所を閉鎖したという話は聞いたことがない。
つまり、事業承継をした事務所は事業規模を拡大し、職員の士気も上がり、ますます前進するのみ。
結果として、事業承継をした事務所(法人)で、失敗を言う事務所はほとんどない。
当然、引き継ぐに伴ういざこざはあるはず。でも、そのことで、承継契約を破棄する先生はいない。
引継ぎはどうにでもなる。税理士事務所の経営者は、誰もがそう感じているはず。
税理士事務所の事業承継には、誰も”失敗”するとは考えてもいない。
そんな安定型の業種が、この税理士事務所経営ではないのでしょうか?
事業承継支援室長
大滝二三男