税理士さんの”賞味期限”といえば失礼だが、高齢になるとどうしてもサービスは低下する。
動きも鈍くなり、顧問先からの要望にも迅速に対応できなくなる傾向も強い。
自身では若い時となんら変わりがないと思っていても、「うちの先生も歳とったな」。
付き合いが長くなればなるほど、お互い言いたいことも言えなくなっていることもある。
その結果、先生のいいようにやってもらっています、ということにもある。
高齢の先生もこれまでの”習慣”を変える気がないから、時代遅れにもなる。
なかには税法が代わってのに気付かず、改正前の法律をそのままだったりもする。
先日聞いた話では、毎年確定申告が終わると、申告書を送ってくるのだが、今年は来ない。
税額も分からないから、申告書が提出されていたとしても、税金は納付していないという。
申告期間が過ぎてから1月以上経ったある日の事業所得者との話だ。
そのご確認したが、黒字で申告書は提出されていたが、税金は未納。
延滞税は税理士さんが払ったが、「もう来年はほかの先生に頼もう」となったのは、当然。
こんな先生から事業承継をお願いしたいと言われても、はたして受けてくれる先生はいるだろうか。
新規のお客が少ない税理士業界だからといって、簡単に引き継げないこともある。
さらに少なくなった顧問先の場合、活きのいいお客さんはすでに他の税理士の所に。
残ったお客は、税理士にそう期待はしていない小規模で、こちらも”賞味期限切れ”。
そうなると、顧問料もそれほど期待はできないし、多分に記帳代行を必要とするお客。
なかには確定申告の時に、一年分の領収書などを持って、「先生、今年もよろしくね」
さらに引き継いだはいいが、一年も経たないうちに「商売はもう辞めます」と廃業するお客も。
承継する先生も採算が取れないことを理由に、話の途中で断る人も出てきます。
つい最近処理を終えた案件でも、予想した以上に顧客の内容が悪いので、話が途中でストップ。
確かの顧客に内容をよく訊いてみると、青息吐息のお客が半分にもなる状況。
譲り渡す先生も「もう少し早くすればよかった」と”反省”するのだが、時期は少し遅すぎた。
それでも、引き継ぎができない顧問先をカットして、残りのお客だけを引き継ぐことで一応決着。
カットされたお客さんは先生が引き続き面倒見ることになったが、安心して引退ということにならず、
「ボケ防止のためにもいいよ」とはいうものの、果たしてどうなるのやら、心配だけが残る。
事業承継支援室長
大滝二三男