税理士の事業承継にはいろいろの形があります。
①すべての顧問先を承継者に渡し、引継ぎが終われば、自らは税理士を廃業する。
②承継先である税理士法人の社員税理士となって、支店経営に参画する。
大きく分けると二通りだが、前者の税理士は100%顧客を増やすことはない。
営業する気力もなくなり、経営を他人に任せたいと考えている人が、営業することは???
営業できるくらいなら、事業承継はしないだろうというのはもっともな話。
しかし、後者の事例で、社員税理士になって3年、今でも顧客を増やし、収益に貢献している人も。
この先生、若手の税理士の力になりたいという考えで、事業承継をした。
それなりの対価を手にしたが、日ごろの業務は一切手抜きせず、法人の収益向上に力を注ぐ。
この数年間で約1億円の収益を上げ、社員税理士としての給与の何倍も稼ぎ出している。
その働き具合を見た法人の若手たちも、なぜあの先生はそんなに稼ぐのだろうと??
つまり、給与の3倍稼げば十分のはずだが、この先生なんと10倍は稼ぎ出している。
もちろん、自分一人ではなく、一つの部隊を任されている、いわば中間管理職のサラリーマン。
一経営者からの大転身。ご本人は、まだまだ不服。と言うのも、組織が稼ぎが悪いと一言。
だからと言って、現経営陣を腐すことはもちろんない。わが道を行く、そして組織のために稼ぐ。
こんな税理士と同様に、はたして事業承継をした人にできるだろうか。
答えはノーである。この人以上に頑張っている税理士を見たことがない。
でも、最終的に引き渡すときに、現状より少なくとも、顧問先を増やしておきたいと、考える人は多い。
できるかどうは、1年を経過した時に分かるのだが、これまでに増やした人は数人のみ。
やはり、営業するだけの気力はないし、高齢になれば、顧問先も「先生、だいじょうぶ?」。
「紹介してくださいよ」と言っても、本気にしてもらえないというのが本当のところ。
まあ、その気持ちがあれば、顧問先がしっかり引き継がれるようなことはするでしょう。
いや、してもらわないと、承継者の期待は空回りしてします。
お辞めになる先生、正直一件だけでも、お客さんを増やして辞めません?
事業承継支援室長
大滝二三男