自分一代で築いた税理士事務所、職員も15名を超え、事理士法人にもしたいところ。
しかし、勤務税理士の一人は息子さん、実力があるのは、20年を超える事務所歴の税理士。
さらに、将来的に良い経営者になるのではないかと、きらりと光るものがある若手税理士。
実に、ぜいたくな悩みだが、見方によれば、経営者としての所長の姿がそこに見える。
所長の息子が資格を取ったら、勤務税理士も独立を考えるのがこれまでの慣例。
自分より経験がない息子さんでも、中小企業と同様に、経営者になるのは所長の身内が不文律。
番頭さん的な役割を担い、所長の右腕として働いてきた税理士でも、身内には勝てない。
しかし、今回の事例では、その番頭さんと息子さんを社員税理士として、法人を設立することに。
所長は考えに考えて、息子と番頭さんを競わせることにし、さらに若手税理士にも希望を与えた。
つまり、身内に資格者を抱えているが、経営者としてその能力がなければ、所長にはしないと。
一代で築いた税理士事務所を時代に即して、法人化し、個人事務所から脱皮しようというもの。
後継者のいない事務所にとってはうらやましい話だが、これも長年中小企業の経営を見ての結論。
最終的に誰が最高責任者となるかは、3名が切磋琢磨し、事務所を盛り上げて初めて決まる。
税理士事務所の営業は所長の仕事というのが通例だが、社員が一皮むけなければ、成長できない。
税理士法人という組織を大きくするのも、縮小するのも、社員税理士の活躍次第。
これを見守る創業税理士の役割も、公正でなければならず、大変な選択をしたものだと感心する。
はたして、谷底に落としたわが子が這い登ってくるのかどうか、気が気ではないはずだが、、、
事業承継支援室長
大滝二三男