経済成長期に東京で開業した税理士の出身地は?と聞けば、ほとんどが地方出身。
それだけに、地方との関係も深いと思いきや、開業30年、40年を超える人には否かとの関係も希薄に。
これはあくまでも商売上の絆の話だが、顧客のほとんどが東京や関東圏に集中。
出身県にお客さんを多く持っているという例は、非常に少ない。
ですから、商売上は東京の人になってしまっているのも事実。
経済が上向きになっているときは、地方出身の先生も開業がしやすいし、お客もいる。
人口が増え、経済が活況を呈していれば、それこそ問題なしだが、今は条件が異なる。
当然、東京でも新設企業は多くないし、価格競争も激しさを増している。
地方においては、まさに企業の減少はとどまるところを知らない。
こうなると、地方の有力事務所は、新しい職域を求めて、首都圏などの活路を見出そうとなる。
現実に、この10年、地方から進出した税理士法人も多いが、ことごとく苦戦を強いられている。
なかには撤退した税理士法人もあり、東京担当者はその責任を取って退職した例もある。
そんな中で、事業承継事案が増加傾向にあり、地方の事務所からの引き合いも多い。
先日も、ある地方ナンバーワン事務所からの要請で、都内の事務所を紹介することとなった。
後継者がおらず、事業承継を考える所長さんも、実はこの道40年の地方出身者。
地方の有力事務所をお相手としてどうかと紹介をしたのだが、、
「はたして、東京のお客さんが地方の事務所に馴染むだろうか」と、疑心暗鬼に。
その結果、やはり「東京の事務所を紹介してください」という結果に。
その考えの裏にあるのが、東京の事務所が地方の事務所の軍門に下るのは、潔しとしない。
やはり、東京で戦ってきた人間として、地方の地縁血縁の中で仕事をした人に事務所を渡したくない。
こんな考えももあるようだ。
しかし、東京で3代続いていた家の出身者で、それなりの事務所を作り上げた先生は違った。
条件さえ合えば、どなたでもいいでしょう。資格があり、信頼できる人であればいいですよ。
こんな人もいます。
しかし、地方の先生に東京の事務所を紹介すると、東京の先生は少々気分を害するようだ。
もちろん、逆に東京の先生が地方に事務所を開くときには、もっと高い壁がある。
それを十分承知の上で、東京の先生は地方に出ていく。もちろんその先生もほとんどが地方出身者。
それだけに、壁を壁とも思わず、地方に出店する。
それに対して、東京で仕事を終えようとする地方出身の先生には、地方を地盤を置く事務所には???
事業承継支援室長
大滝二三男