税理士事務所の採算点を売り上げで見てみると、職員一人当たり800~1000万円という。
1000万円の売り上げがあれば、まずは及第点が取れる。
もちろん、地域差があり、東京より地方の方が一人当たりの売り上げは少なくても利潤は上げられる。
しかし、そのためには事務所も個人所有で、賃貸などの経費が掛からないことが条件になる。
事業承継で、相手に税理士法人を求める場合、それでは事務所の売り上げはどれくらい必要なのか。
例えば、売り上げが5千万円ある事務所を考えてみると、およそ従業員は4~6人プラス先生。
このクラスだと、先生の所得は1000~1500万円程度。専従者ありといったところ。
事業承継の対価を4000万円とすると、この資金は5年間で十分償却できる金額。
それでは、職員3名で、売上2000万円の事務所ではどうでしょうか。
先生を社員税理士として採用し、それに応じた給与を支給すると、かなり経営は厳しくなります。
当然、先生の事務所を賃貸することになりますので、専従者給与相当分がそちらに充てられます。
こうなると、残りの3名の給与と新たに税理士法人の本部から派遣される職員の給与分が出ません。
この職員の給与も本部経費とするにしても、投下資本の回収がうまく行きません。
社員税理士には本部から派遣される職員が就任する形を取れば、この事務所は回るでしょう。
しかし、やはり投下資本を回収するには、営業活動で事務所の規模を拡大する必要があります。
その可能性がないのであれば、税理士法人支店化はできないでしょう。
ただし、引継ぎ1年後にして、顧問先から支持された状態が作れれば、支店を閉鎖することもできます。
これは承継サイドの考えで、社員税理士になった譲り手が果たして納得するでしょうか。
したがって、余程条件が整っていなければ、この規模の事務所は顧客のみの承継となります。
やはり売り上げは2500~3000万円は欲しいところですね。雇用できるのは職員も2名が限界でしょう。
それ以上の規模であれば、いかなる対策も講じことが可能でしょう。
そうは言っても、いかに小規模の事務所でも、当支援室は解決策を提案しますから、ご安心ください。
事業承継支援室長
大滝二三男