税理士事務所に果たして定年制を敷いているところは、どれくらいあるのだろうか?
税理士法人では、就業規則を決める際に、定年制を明文化しているところがほとんど。
個人事務所となると、所長自ら定年がないので、明確にしていないところが多い。
70歳を超える所長の場合でも、二代目でない限り、60歳を大幅に超える職員はまずいない。
これまでの事例でみると、73歳を超えた所長の事務所に先輩の先生から承継した職員が8名在籍。
先輩税理士も高齢で事務所を閉じたので、承継した15年前には50代であった職員今や60代後半。
全員が顧客を持ち、すべて職員の責任で業務を行う体制を敷いているため、定年は言えない状態。
この場合の給料は売上に応じた歩合制であり、仕事が出来なければ収入も上がらない。
それだけに全員必死に業務を遂行しているが、弱点は担当者しか顧客のことが分からないこと。
それこそ定年制を敷いた途端、顧客を持って他の事務所に移って行ってしまう恐れがある。
この弱点を解消するには高額の退職金を支給して、職員が納得する形で、顧客をしっかり確保するしかない。
こんな事務所を事業承継する先生は果たしているだろうか?
実は一例だけ話が途中まで進んだものの、結局職員からの情報が開示されず、そのまま話は終わった。
この4月から、職員が望む場合、事業者は65歳まで雇用しなければならないことtなった。
本当に優秀な職員であれば、承継者も喜んで、雇用を継続するだろう。
しかし、個人事業の場合、承継者・税理士の方が承継する事務所の職員より若いことがほとんど。
そこで、自分より若い職員しか雇用してこなかった税理士には、中高年の従業員を使う難しさを考える。
定年制をしっかりしておいても、40代前半の先生の事務所では実際の適用は20年後にもなる話。
だが、事業承継をする事務所の場合は、これを明文化しておかないと、とんでもないことになる。
あの怖い労働基準監督署が、時間外手当の支給等で税理士事務所に目を光らせている時でもある。
事業承継支援室長
大滝二三男