当支援室では、年に2回税理士新聞の特別号を登録の古い先生にお送りしています。
もちろん無料で配布していますが、今回も配布後数日間で相当数のお問い合わせが来ました。
後継者はいるので、事務所拡大のために承継希望の先生方が8割と圧倒的に多いのも通常通り。
残りの2割が、直ちに承継者を紹介してほしい先生と、悩んでいるので相談、という2タイプ。
後継者はいないが、将来的に後継者になり得るような人材を探してほしいというのが悩みの一例も。
この場合、難しいのが、最初から後継者にする約束で、人材募集をするのかどうかだ。
その人の力を確認してから後継者にするかどうかを決めるというのは、当然のこと。
しかし、事務所を任せられるような人材なら、すでに現在の勤務先で将来が決まっているはず。
そのような人材を確保するためには、ヘッドハンティングしかないが、ここが難しいところ。
大きな税理士法人ならそれなりの”人財”はいるのだが、そこに話を持っていくことはもちろんできない。
かといって、金融業界などで行われているヘッドハンティングなどは、まだ業界では慣れていない。
そこに手を突っ込んだら、後でどのような事態に遭遇するか、想像がつくところ。
今回のご相談もさる地方の有力事務所だが、所長の話では、その地方には”人財”なしという。
もっとも、若手の力のある税理士は都会に出て、将来を嘱望されて、活躍の場を得ている。
給与もそこそこだから、刺激の少ない地方都市へは帰ろうとはしない、他の業界も同じこと。
そのような環境にあることを十分承知の所長さんだが、まずは後継者候補を探すのが大前提。
自身が創業した税理士事務所の行く先は、しっかり見据えながら、引退したいと言うのだが。
後継者候補が見つからなかった時に初めて、事業承継先を探すという。
長年、後継者候補として育てていたのであれば、少々の弱点も許せるのだが、そうもいかない。
相手である若手税理士も、いつになったら所長の椅子に座れるのか、首を長くして待ち続ける。
そのうち、ズルズル時間ばかり経っていくうちに、後継者候補者も諦め、退職の道を辿る。
これまでに、後継者候補として紹介した税理士が、新天地で所長となり、成功した事例は非常に少ない。
その事実をお話ししても、自分はしっかりで決めるから問題ないという先生も多いのだが、はたして。
事業承継支援室長
大滝二三男