譲り渡される事務所の規模や売り上げは分かったが、職員も雇用するとなると、はたして?
と悩む承継者も少なくない。
引き受ける事務所の状況をすべてチェックするのは、当然のこと。
そこで、譲り渡す先生から職員の資格や勤務状況、性格などを聞き出すこととなる。
情報を開示する先生も個人情報だけに慎重になるのは、誰でもわかること。
しかし、本人に面接したうえで結論を出すとなると、これまた面倒となる。
そこで、事前に所長からの情報だけで雇用を決めることとなる。
それも移籍に同意できない人は、雇用を確保することはできなくなる。
併せて、日ごろから勤務態度が悪い職員には、事前に所長から”最後通告”が行われることとなる。
過去の例では、勤務税理士が承継の条件として、勤務態度の悪い職員の解雇を条件にしたことがある。
幸い、年齢が60歳近かったため、当時の定年制を理由にこの職員に退職を迫り、同意をしたことも。
しかし、現在ではなかなか悪い”噂”が表面に出ないことがある。
その結果、数か月後に新しい職場を去らざるを得なかったという事例が、数例報告されている。
なかには一方的な印象で、職場を去らざるを得ないという悲しい報告も出ているのも事実だ。
それだけに、職員の雇用に関しては、譲り渡す税理士からの正確な情報が何より必要。
今までの職場で改善すべきことも含めて。
定年制がよく言われるが、65歳を超えたベテラン職員もそのまま雇用し、戦力としているところもある。
顧問先のことをだれよりも知っているのだから、その人を活かす方が事務所にとっても有難いこと。
でも、先生より偉くなった職員は使いづらいのは、だれが所長になっても同じでしょう。
職員にも改めなければならないことも少なくない。経営上、職場も刷新されることもまた必要だ。
事業承継支援室長
大滝二三男