最近、東南アジアに進出する会計事務所が急増しています。
ここ数年、日本の製造業が中国を始めとするアジア諸国に出て行っています。
会計分野でもこれらの企業の業務をこなすために、現地への出張なども必要になってきていました。
しかし、日本国内と現地の会計の整合性を取るためには、現地の業務にも精通する必要があります。
そこで、海外事務所の必要性が問われているわけですが、コスト面を考えると二の足を踏みます。
さらに現地の会計に慣れるためには相当の時間もかかりますから、数年間は赤字を覚悟しなければなりません。
しかし、国内の事業の先行きが見え、顧客の減少は予想を超えるスピードで進んでいます。
会計事務所にとって、”いいお客”ほど海外への進出が激しく、サービスが提供できなければ、契約もカット。
こうなると、どうしても海外進出企業とともに、東南アジア諸国の税務まで面倒をみないといけなくなります。
公認会計士の場合、国際的に相互承認制度がありますから、現地で会計を見ることができます。
国内において、海外から送ってくる帳簿などに疑問点があっても、簡単に質問することもできません。
この点、海外に事務所があれば、事務処理も簡単に済ませることも可能になります。
日本人の経営者にとって、日本語で事務処理ができることは、”安心安全”につながり、大歓迎。
昨年、大洪水に襲われたタイに工場などを持っている日系企業が、カンボジアに移転しているそうです。
そこには日本の会計事務所がほとんどなく、今は開発中という状況のようです。
そこで、公認会計士で日本に仕事がない人は、是非現地に赴き、日系企業から仕事を受けたらどうでしょう。
大歓迎されるに違いありません。とはいうものの、食えるようになるまでには数年かかるでしょう。
そこを我慢して、しっかり営業し、日系企業の要求に応ずることができれば、成長は約束されています。
これからは日本に居続けるのではなく、成長著しいアジア諸国に出かけ、ビジネス展開を考える時です。
人口が減少するところで、経済が発展するところはありません。歴史が証明しています。
中小企業の経営者とともに、アジアを舞台に業務展開できるのが、これからの会計人に求められています。
会計事務所の事業承継も、減速経済の中で生き残り策の一つですが、だれにでもできものでもありません。
独りで仕事をするのが良いという先生には、向かないでしょうが、そうでない方は是非お考えください。
これからの時代は華僑の時代から、和僑の時代になるのかもしれません。
こんな時代を中小企業が生き残っていくためにも、会計事務所のパートナーがぜひとも必要です。
税務は各国独自の国家政策から派生しますから、税理士の仕事は国外では通用しません。
それだけに税理士も会計士とパートナーシップを組み、中小企業へのサービスを展開する時かもしれません。
事業承継支援室長
大滝二三男