事業承継に関して話が聞きたいという、税理士法人の代表から電話があり、昨日会いました。
道に迷い、事務所のあるビルが見つけられず、約束の時間15分ほど遅刻。
これが心証を悪くしてしていたようだ、と後で納得。
まず、話を進めていくと、この10年間で数件、税理士事務所を吸収していることが判明。
そこで、承継の対価を訊ねると、「そちらに使われてしまうので、言えません」と、顔を強張らせる。
当支援室の評価を伝えると、「そんな高額なことはないはず。眉唾です」と、断言。
こちらの仲介の歴史やその数を話しても、「そんな金を出したのでは、やっていけないはずだ」
現実にそれでつぶれた事務所はないし、現実に手を上げる事務所は相当数ある。
しかし、7年前と現在では、事務所の評価は大分下がっていると言っても、「当然だ!」の一声。
「5年もしないうちに2割の客が無くなって行くから、対価は年商の5割が最高水準だ」という。
その支払も、年金方式で10年掛けて支払うのが普通という。
「高齢を理由に税理士を辞めるので、年金方式は一番いいでしょう」と言う考えのようだ。
お客さんも先生同様に歳を取り、その客が減るのは当然のこと。
そのプラットフォームをいかに活かしていくかが、事務所経営の妙だが、そこまでは考えていない。
5年掛ければ元が取れるいい商売のはずだが、今はそんな時代ではないとも断言される。
さてさて、自らの事務所として定期的にDMなどを出して、承継相手を探している。
それでもこの10年で数件。直接交渉になるから、譲り手も希望を高く言うことがないのだろう。
言ってみれば、承継する方が強い立場になるのに違いない。
当支援室では、承継先のペースだけが優先される交渉はしないし、評価はこちらが決める。
当然、譲り手と承継者の了解がなければ、交渉は成立しないのだから、双方が歩み寄る。
当支援室の評価は譲り手側に対する思いが強いので、承継者には割高となるだろう。
しかし、その高い評価だけで構想が決裂することはない。
これはお客さんの評価もするからだ。単なる売上だけで判断するわけではない。
もちろん、譲り手の雇用する職員もチェックさせてもらう。雇用を維持するためだ。
承継者の事務所のレベルと差があるのは、常識。
そのレベルに達しない職員は採用しないというのでは、問題外。
譲り手の税理士さんから、ときに「辞めさせてもいいですよ!」と冷たく言う先生もいることはいる。
でも、ほとんどの先生が「レベルは低いかもしれないが、使ってやってください」という要請がある。
お客さんとの日常の交渉をこなしている職員が辞めてしまうと、お客も離れてしまう。
それを防ぎ、譲り手の先生の事務所の風土も呑みこんで発展させることこそ、事業承継の妙味では?
いろいろな税理士さんに会いますが、「時間を買う」この事業承継に成功するかどうかは、組織の問題。
個人事務所では、そうそう大きな展開はできないでしょう。
そんな感想を抱いた今回の面談でした。
事業承継支援室長
大滝二三男
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