税理士事務所の事業承継のお手伝いを始めて、今年で8年になります。
ハッピーリタイアメントを米国で体験して、この業務を開始しました。
その決断をした時に、米国税理士の仲間は大賛成。「フミオ、頑張れ!」と言ってくれました。
日本で、このビジネスを成功させるためには、何が必要か、多いに悩みました。
会社の経営陣も、ビジネスとして立ち上げることに躊躇をしていました。
でも、半年後には、「私のやりたいように」と、すべての判断を任されました。
事業承継のお客さんを探すのは、弊社の媒体を利用するのが、まずはスタート。
呼びかけを始めて、半年後、次から次へと依頼が飛び込んできました。
年間の売り上げ規模からいえば、3億円から300万円まで、それは大変でした。
それから、7年間で90件を超える事業承継の案件をお手伝いしました。
そんな中で、高齢になり、税理士業務を継続できないという先生の案件は、8割方です。
こうなると、税理士事務所、そのものの成長する勢いは、ほとんどありません。
引き受けてくれる先生は、”拡大”を旨としますから、承継する顧問先には期待はありません。
こんな状況のなかで、今回の依頼先は、50代前半の税理士(ご家族)からの依頼です。
事務所を大きくできるかどうかは、40代後半から60歳ぐらいまでの税理士さんの働き具合によります。
でも、ご家族からの連絡では、なぜか、早急に承継先を探してほしいというもの。
国税庁のサイトをチェックしても、税理士の非行に関する処罰があるというわけではありません。
とにかく、承継先を探してほしいというものでした。当初はその理由をはっきりしませんでした。
当方も、このような要請は、病気以外には考えられないと結論し、承継候補者に連絡しました。
それから2週間後に、所長先生と承継先の代表者との面談が実現しました。
その結果、経営統合ということで、双方が了承し、契約書を締結しました。
事務所職員には、そのまま従来通りの仕事を継続することで、異存はありません。
顧問先の皆さんにもおおむね了解されました。
でも、契約の調印が行われた5日後に、先生は逝ってしましました。
「お願いします」と依頼されてから、契約内容で「1年経過後」という条項があり、それも納得いただいた。
それにも拘わらず、依頼を受けてから一月も経たないうちに独り旅立ってしまいました。
奥様も「話がまとまってホッとしていました」と言われ、誕生日祝いを自宅でした1週間後のことでした。
承継先の税理士さんは大慌てです。
でも、事務所の皆さんが頑張っていますので、業務にはそれほど支障はありません。
これには、一時的に大慌ての税理士さんもひと安心。
今では粛々と承継業務を行っています。
事業承継支援室長
大滝二三男