事業承継の話は、人にはあまり言えないというのが、通り相場です。
他人に面倒を見てもらうのなら、ひとり静かに”退場”するのが、”美意識”と考える方も。
そうは言いものの、事業を承継してもらうことで、その対価が手に入るのは、やはり歓迎。
お客さんに、事務所を売却したことが分からないようにするのは当然の事。
これには引き受けても当然、秘密は守ります。なぜなら、お客さんは売られてことが分かれば…
ですから、この秘密を暴露する人は、仲介者か、それとも、税理士さんの身近にいる人だけ。
信頼する従業員も、雇用が確保されれば、文句は言いません。自分の職場が確保できているわけですから。
それではだれが、暴露するのでしょう。それはいつ辞めてもいいという職員で、所長に恨みのある人?
でも、経営統合することを恨む職員などはいるはずがありません。
もし、いるとすれば、それはその職員がこれまでの悪さがバレルことを心配しての、行為でしょう。
ところが、今回は、税理士さんが何にお金を使ったかわかりませんが、借金返済のための承継話です。
それも、通常考えられる取引相場よりも、過大な対価を要求するというもの。
その原因は、借金の多さ。1年分の売り上げより多額の借金をし、その返済額相当額を対価として要求。
もちろん、引き受けようと手を挙げた先生も躊躇し、当支援室にその妥当性を確認。
慎重にその案件をチェックしたところ、残念ながら、譲り渡し希望の先生の要求には”ノー”の判断。
その投資金額をカバーするためには、7~8年かかることから、投資としては不適格。
事業承継に投資した資金を回収する期間は、長くても5年がせいぜい。それ以上は考え物。
しかも、このケースでは、譲り渡す側の所長さんが数年間勤務する条件が付くだけに、投資案件としては疑問。
このようなケースは今後増えてきそうな気もします。
当支援室では、内容を十分吟味し、承継後に問題が新たに出てくるようなことのないように注意しています。
事業承継支援室長
大滝二三男