税理士事務所を譲渡しようと相談に来られた先生が、予想される対価を聞いて、譲渡を止める人もいます。
確かに、普通の事務所の場合、ほぼ3年半で、所得総額は年商相当額をカバーするほどになります。
なかには、売上の50%が所長の財布に入って例もありますから、事務所を閉鎖するのは難しくなります。
先日お会いした先生も、事務所の年間売上げの60%近くを、所長の家族で手にしていました。
この先生の場合、譲渡の対価を年間売上げの3年分の対価を希望されましたので、引き受け手はナシでした。
個人事務所の先生の1年分の所得は、普通事務所の売上げの15~20%ですから、3年分は無理な話でした。
通常、1年分で話がまとまることも難しくなっていますので、譲渡する先生も多額な対価の要求は、ご法度。
もちろん、譲渡する先生の希望もお聞きしますが、最終的な対価の決定は、年商と所得を参考にします。
この金額で話が進まないことは、ほとんどありませんし、重要なのはお客さんが満足できるかどうかです。
自分のお客さんが了解しないだろうと判断すれば、お金に満足しても、相手に断りを入れるでしょう。
ですから、あと3年あれば、譲渡対価相当額は稼げると言われる先生は、まだ事務所を渡す気がないのです。
つまり、事務所経営を止めようと腹を決めた先生は、譲渡対価で無理を言いませんし、淡々と話をします。
結果、交渉を開始してから1~3か月後には、契約は完了し、引き継ぎがスタートするのが、普通です。
皆さんが考えるほど事業承継は困難ではありません。なにより、先生との信頼関係が重要になります。
事業承継・M&A支援室長大滝二三男
あと3年も続ければ、対価分は稼げるから、頑張ろうかな?!
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