嫌なことから書きますが、税理士事務所に勤務する男性職員の中には、試験挑戦を諦めた人がかなりいる。
資格がないために、税法の実務に精通していても、事務所内では、資格者より格下と見なされる。
ただし、税法1科目を残している職員と、会計科目だけしかクリアしていない人では、所長の見る目は大きく変わる。
試験をあきらめた職員
ある事務所で、会計2科目には合格したが税法には全く歯が立たなかった60代の大ベテラン職員がいた。
40代で子供たちが学校に行くようになり、業務でも所長の期待が強くなり、試験に集中できなくなった。
その時、彼は試験挑戦を辞める決断をし、事務所になくてはならない職員になることを決意した。
仕事に精通し、教育係としても所長の信頼は得た。
年下のスタッフと変わらない給与
その一方で、物足りないものを感じていた。
やはり、資格がない悲しさで、顧問先からは先生と言われるものの、給与は先生の足元にも及ばない。
事務所では稼ぎ頭だが、試験に合格した遥か年下の職員とは、給与はさほど変わらない状態に。
それからほぼ20年、娘さんが修士課程を修了し、税法免除で税理士資格を取り、父親の願いをかなえた。
事務所の番頭さんになっていた父親の願いは、娘と共に独立し、その事務所を自分達で自由にすることだったのだ。
退所の際に契約を持ち逃げ
まさに、″野望″は試験を諦めたときから沸々と湧いていたわけで、実際に娘とともに事務所を立ち上げた。
事務所を辞めるときに、高齢の所長からはそれなりの退職金が出されたが、それでは野望が達成されない。
なんと、自分の担当していた関与先のほとんどを退所する際に、契約を解除させ、娘と契約させたのだ。
まとめ
番頭さんが稼ぎ頭だっただけに、事務所売上金額の30数%の2千数百万円が無くなり、大打撃。
新規に事務所を設立した元番頭親子の野望は達成されたわけだが、果して心は満たされたのだろうか?