高齢者が運転し、ブレーキとアクセルを踏み間違いによる人身事故のニュースが毎日のように報じられ、その影響か、運転免許を返上する老人も増えている。
70歳を越えた高齢者には、運転免許の書き換え時期に高齢者講習で、S字カーブやクランク、そして縦列駐車などの実習に腕ぶす猛者も中にはいるだろう。
ただ日曜ドライバーや長らく車に乗らない人にとっては気の重いことで、これを機会に返上しようとする人も少なくないだろう。
事故を起こしてからでは遅いので、乗る機会の少ない人は、できれば返上したほうがいいかもしれないが、自家用車しか交通手段のない地区に住む人には疑問も。
これと同じ論点で、税理士の資格を論ずるつもりはないが、実務をチェックすべき税理士が、高齢化に伴い、改正税法を理解できていない場合、はたしてどうか?
税理士不在の事務所
これまでの案件で、脳梗塞を患い寝た切りの先生の事務所を資格のない息子さんが運営していたが、税務署の調査で先生との意思の疎通ができないことが判明した。
この判断に対し、家族は言葉ははっきりしないが、意思の疎通はできると主張したが、係官はそれを認めず、早めに事業承継するように指導した。
この事例では、税理士が日常業務を全うできないことは明らかだったが、認知症にはなってはいないものの、業務をチェックできない状況の先生はどうか?
端から見ていては分からないが、毎日事務所にいる職員や家族にすれば、指導・監督ができない状況であり、早目に交代するべき時期に来ていることは認める状況。
後継者も不在
ご本人は辞める時期に来ているのは理解されてはいるものの、後継者がいない状況で勝手に辞められないと考えている可能性もある。
しかし、法令等の判断ができない状況がわかった時点で、調査があればいいが、ないときに誰が鈴を着けるのか、非常に繊細な心配りが必要なだけに難問中の難問。
税理士の継続研修には、理解度を調べる試験があるわけではないので、研修さえ受ければ資格は維持できる。それだけでは、適格な判断を保証することにはならない。
はたして、ご本人任せだけでいいのか、この秋には消費税の軽減税率などが採用されたとき、納税者に迷惑をかけないか、自らの判断以外の資格返上もありか?