税理士事務所の経営破綻は、世間には喧伝されないが、実は深刻な事態になっている事例もある。
職員を三人抱える、80歳を超えた税理士は、ここ3年ほど毎年赤字で、家族は事務所の閉鎖を進言している。
経営困難
日常の業務は一人で処理できるほどに減少し、職員も高齢のため、転職もできず、雇い止めはしないまま。
それどころか、毎日数時間で仕事はなくなるのに、給与を下げることもしていない。
所長は、職員にも生活があるから、簡単に給与を下げられないというのだが、実際にそのお金がないのだ。
自己所有の事務所ならまだしも、市内のビジネス街にある賃貸物件だけに、家賃を払わなければならない。
しかも、所長は毎朝事務所に出勤するものの、所長の指導が必要な難解な業務はなく、午前中には外出。
所長の決断次第
こんな状態の事務所の承継についてご家族から相談を受けたが、所長本人が「うん」と言わねば動けない。
職員の退職をお願いしたらどうかと忠告するのみがせいぜいだったが、ご家族は、それも言い出せない。
所長が現実をはっきり認識し、顧問先を譲り、職員は退職金を払い、事務所を閉鎖するのを待つしかない。
それを説得する手立てを知りたいというのが、相談の趣旨だが、ご本人に会えなければ結論は出せない。
厄介な話ではあるが、家族の話は感情的になり、素直に聞けないが、他人の話を聞く耳は持っているかも?