ある地方都市で、約30年事務所を経営していた60代後半の税理士さん、脳梗塞を患い、事業承継を決意。
その決意を事務所で番頭役を務める40代の職員に告げると、他の職員とともに辞めるつもりだと言う。
所長と所員の見解が真っ向から対立
というのも、日頃から病気気味だった所長に代わり、顧問先の面倒を見てきたが、所長は知らんぷり。
だから、所長が勝手に決めた事業承継を認めるわけにはいかないし、事務所を去った後、自分達で仕事を続けて行くと言う。
これに対して、所長は、彼らの力量以上の給与を払ってきたし、彼らの主張にも耳を傾けてきたと言う。
無資格の所員が名義借り
実際に、承継の話が進み、契約が成立。職員たちはこの間に移籍先を探したが、誰も受け入れなかった。
税理士会では、所長の人徳故に、彼らを採用し、併せて顧問先を獲得することを良しとしなかったのだ。
そんな状況でも、一度退職を告げた以上、事務所に留まることは潔くないと、彼らは顧問先を持って退職。
他の税理士事務所に移ることができなかったが、会計業務はできると、会計法人を設立した。
″持ち逃げ″した元の関与先の記帳代行を主要業務としたが、税務を伴わない業務に顧問先は当然満足しない。
そこで、彼らがもとのように、お手の物の税務書類を作成し、顧問先のない先生に判子を依頼した。
正に、当局が厳しく監視する名義借り行為であり、件の税理士は名義貸しで懲戒処分を受け、業務停止。
まとめ
このケースは地方都市であったため会計法人のメンバーは、これ以後、業界にいられず、去らざるを得なかった。
先般の懲戒処分でも、高齢の税理士だけでなく、税理士法人の税理士も名義貸しに手を染めていた。
名義貸しがいつまでもなくならないのは、資格ビジネスの宿命か?それとも、欲がなせる技か?