税理士が引退を決意するまでに悩むのが、家族従業員の将来。
家族が税理士資格を取ることができなければ、他の税理士に事務所を譲ることになる。
そうなると、優遇されていた家族従業員の処遇が悪くなることもある。
そんな中で、仕事が忙しく、途中で試験を諦めた子弟もいる。
しかも、高齢で引退する所長となると、子弟も家族持ちで孫のいることが多い。
さらにその孫の教育にお金がかかる年齢だと、子供に援助してあげられなくなる。
所長の〝血〟が引き継がれれば顧客も安心
そんな状況にある事業承継希望の税理士に多く接触してきたのが、当支援室。
少しでも、家族従業員の処遇が変わらないよう、引継ぎする所長と交渉を行う。
その子弟が業務に精通し、いわば番頭さん的な仕事をこなしていれば、話は早い。
引退する税理士の”血”が引き継がれれば、元の事務所のお客さんも安心する。
担当も変わらなければ、お客さんは事業承継に納得し、さらにサービスが良くなれば御の字。
これまでの例では、父親以上に働いていた息子さんが、”所長”に就任した例もある。
もちろん、引き継いだ税理士がいるわけだが、顧客のことは”所長”任せ。
自分は経営に専念し、日ごろの業務は部下に任せ、税務調査などにはもちろん対応。
引継ぎ後、すでに3年を経過したが、顧問先も増え、順風満帆の日々。
ただの高給取りは厄介
それとは反対に、ただ所長の家族というだけの、”高給取り”では、大変。
引継ぎは行われるものの、新しい職場には馴染めず、辞めていく子弟も少なくない。
それだけは避けたい所長だが、その将来を知っているのは、所長自身。
なかには引き受け手の税理士より年上の家族従業員が、辞めていく例も出ている。
年下の新参者に指導を仰がなければならないことに、我慢ができないというのが、その理由。
新しい仕事を探すのも大変なことで、できれば慣れた仕事で我慢してほしいところ。
まとめ
家族のことを考えると辞めるに辞められず、悩み続けている先生もいることは確か。
歳も取り続け、果たしていつまで仕事を続けるのか、考えただけでも精神衛生は極悪。
そうならないよう、引退の道筋を早めに決めておくのが一番。