今から10年ほど前に、売上8000万円の事務所の承継を仲介しましたが、所長の態度に唖然としました。
承継交渉中に、中堅の職員2名が近々辞めるが、担当先は後任に引き継いるので全く問題ないと所長が言う。
後任の職員の仕事振りを訊ねると、勤務歴は数年で、辞める職員の補助をメイン業務としていたと言う。
すべて職員任せだったことが判明
その職員が少々不安になったので、引き継ぎの挨拶は、担当職員に所長も同行して貰いたいと依頼した。
所長の答えは、私より担当者のほうが信頼されているから一人で十分です。私は行きません、と言うのだ。
でも、なんとか同行して下さいと念を押すと、自分は顧問先に行ったこともないし、よく知らないと言う。
職員が営業してきた顧問先なら、その事情も分かるのだが、どうやら、所長は一切顔を出してない模様。
決算説明を聞くために、来社する顧問先の社長にも会わずに、すべて職員任せで、自分は外にでない。
もちろん、後で分かったことだが、所長は朝来ると、職員が集金した顧問料金を受け取って直ちに帰宅。
仕事の報告も聞くこともまれで、ベテランの職員は自分流で仕事をこなし、疑問点も所長には訊かない。
そう、税理士の指導・監督の元で税務業務を行っているとは言える状況ではなかった。
顧問先が次々に契約解除
それでも、引き継ぐ税理士は、お客が減った場合、対価を見直すことを条件に、清水の舞台から飛んだ。
その結果、承継に前後して辞めた職員の顧問先から次々に契約解除の連絡があり、その金額は2000万円。
これも後で分かったことだが、辞めた職員は他業種に転職するとは真っ赤な嘘で、他の会計事務所にいた。
退職金も支払った上、顧問先まで持ち逃げされた所長は、結果として対価の手取り金額が3000万円の減。
残った職員は、元気を失った所長を見て、日頃の態度から考えて、当然の結果だと気の毒に思う人は皆無。
そして、引き継ぎが終わり、相手にされなくなった所長は、誰も引き留める人はなく、静かに退場した。
まとめ
仲介をして、気分が晴れない、最たる事例を書きましたが、あれから10年、同じような事例は幸いない。職員が辞めるのにはそれなりに理由があるというお話です。