日本人のお人好しが現れた典型的な事例を紹介します。
会計事務所の顧問先の引き継ぎに、〝らしさ〟が出ています。
実務は所員任せ
勤務歴3年の税理士に、対価を設定せずに顧客を渡した。
所長は高齢で、ここ数年は、仕事を職員任せにしていた。
実務は職員に任せたうえ、申告書などはチェックをしていた。
ただ、税理士を雇ってからは、その実務も勤務税理士任せになっていた。
というのも、75歳を過ぎてから、体力気力の衰えを感じていたため。
併せて、奥さんに先立たれた5年前から、仕事をする気概もなくなってきていた。
そんな時に税理士を事務所に迎え、日ごろの業務を任せるようになった。
そして、一昨年に顧問先を譲る契約をし、2年が経とうとしている。
契約書に対価の記載なし
ここに来て、事業承継の契約をしていなかったことに気づき、当支援室に相談。
確かに顧問先を譲ったことは明らかだが、その対価は契約書には一切ない。
ただあるのが、顧問料が明記されている資料のみ。
その金額は、承継した顧問報酬額を基にした対価を基にしているものではない。
通常の対価を数年間で支払うといったものでもなく、顧問契約は1年も待たず破棄できる。
譲られた先生はいつまでも顧問としての報酬をもらえるものだと思っている、これまた認識不足。
契約書には1年後には顧問契約を破棄できるとなっているので、切られても文句は言えない。
契約する段階で、弁護士などのチェックを受けない、なぜなんでしょう?
まとめ
お人好しの日本人の典型的な例ですが、譲り受ける方もやっぱり日本人的。
お互いに、話せばわかる、後で争いたくないというのですが、いざとなると、訴訟。
なぜか第三者を入れたがらない、それが後で禍になる、そんな典型的な事例でした。
まだ、契約の解除まで行っていませんが、近い将来きっとそうなるような気もします。