ここ数年、企業の寿命は何年?といった話題が、頻繁に出るようになった。
10年ほど前であれば、一世代30年という”定説”があり、事実、創業経営者の30年は続いていた。
ところが、人不足、製造業が海外へ移転、サービス業ばかりの、わが国では、30年持たなくなってきた。
企業の寿命が今や10年といわれ、それも優良企業の話。
経営者が余程営業に精を出さないと、いつの間にか、不況業種の仲間入り、そして淘汰される始末。
その会計を預かる税理士事務所の寿命はとなると、やはり30年説から、大幅に短くなるのは当然。
それも創業所長の話であって、中小企業と同様の2代目、3代目となると、淘汰されるのは時間を待たない。
先週末も、2代目所長が経営する税理士事務所の勤務税理士から、悩みを聞いた。
先代の時は、職員が10数人。地元でも、伝統ある事務所として、盤石の経営状況だった。
しかし、先代の死亡とともに、2代目がその経営を引き継ぐと、何を間違ったか、”遊び”に精を出した。
職員にはそんな姿は見せないはずだが、遊興費は事務所の経理から払われていることが判明。
そんな新所長は顧客への顔見世もほとんどなく、担当者任せ。実務もほとんどできず、判を押すだけ。
もちろん先代からいる力のある職員が”番頭”として、事務所を切り盛りしている間はよかった。
個人お遊びを事務所の経費としていつ事実をつかんだ”番頭さん”も、我慢の限界で”ご意見に及んだ。
その結果が、「いつ辞めても結構です!」
番頭さんも先代に恩返しするつもりで、勤務していたが、新所長の一言で、プッツン。
さらに、60代半ばのナンバー2の職員も、「もういいでしょう。先代の時に良い思いをさせてもらいました」
ここ数か月で、退職金も極々少ない額で辞める予定。
こうなると、後に残る職員も、「もういいでしょう」。
10数年勤めた勤務税理士も”のれん分け”なしで退職。でも、その担当先の契約解除が続いている。
実はこの事務所の先代には、30年以上前にお会いし、久しぶりに聞くその名前に、感慨ひとしお。
数年前に他界されたが、草葉の陰で、「馬鹿もん!!」と叫んでいるに違いないと、確信。
この事務所の数年後は、枯れに枯れ。その遊び人”経営者”と一人二人の職員で,さびしい姿に!
営業のできない、職員の心をつかめない、そしてプライドだけの2代目所長の行く先は、、、哀れ!!
経営する力のない人が、事業を継続するのは考え物。自らを見つめなおすことも必要でしょう。
経営に日々悩んでいる中小零細企業をお客さんにする税理士として、自らを正すのが先でしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男