そうなんですね、いざ自分の居場所がなくなると思うと、躊躇するんですね。
数十年間も自分の城を守ってきたわけですから、諦めきれません。
承継相手のことは十分理解し、一番良い相手と決めたわけです。
家族も当然、「お父さん、良いんですね?」と、念を押されていました。
「顧客のことばかり考えていると、フラストレーションも半端じゃない。」
「そろそろ、自由になってもいいじゃないだろうか、早ければ早いほど良い。」
そんな先生の言葉を受け入れて、最適と思われる相手を見つけてきた。
もちろん、ただちに両者面談し、双方共に納得。
そのひと月もたたないうちに、数か月後に事業承継するとの契約を締結。
双方が事業承継の準備に入ったが、その間3月決算などの業務をこなす。
前期のメーンイベント、今月末とひと月延長の来月末に法人税の申告が終わる。
7,8月は少しばかり自由になれるので、事業承継業務も一歩前進する。
ところが、暇になろうとするこの時期、事業承継には、実は厄介ない時期でもある。
人間暇になると、ろくなことを考えない。
もう仕事をするのもいいだろうと、事業承継を目論見、相手も決まった。
もちろん、一番の好条件で決まった事業承継でも、不安は残る。
譲り渡す先生はもちろん、受ける先生も、果たしてうまくいくかと不安になる。
すべてを手放す先生は、もう二度と戻れないので、不安は最高潮に!
ここで、腹が決まっていない先生は、相手のことは考えず、戻ろうとする。
ご法度の契約破棄までもやろうとするが、自分が原因とは言わない。
相手が悪いと主張するが、実質は先生のわがまま。
本来であれば信用問題だが、実は信義は簡単に無視される。
引き受ける方でも、相手がとやかく言うのであれば、ご破算で良いと言う。
それはそうでしょう。引き渡した先生が、お客さんに勝手を言われては面倒。
というより、信頼でつながっていた顧問先が不信に思うようでは、後がない。
事業承継と言いながら、お客さんが付いてこないのであれば、契約はご破算。
腹の決まらない先生には困ったものですが、本当に引き際は難しいですね。
こんな事例はそうそうありませんが、どうか相談は、腹が決まってからに!
事業承継支援室長
大滝二三男