団塊の世代のサラリーマンたちが、続々と現役を引退し、第2の人生を送り始めた。
会社族の長い生活を終えた元猛烈サラリーマンたちの生きがいは、果たして満たされているのだろうか。
そんなことを頭の隅に置きながら、税理士事務所の事業承継に取り組んだ7年を経過した。
団塊の世代の第一期生として、集まると話は健康と年金で一杯やることになる。
そんな中で、生涯現役を主張するのは、やはり国家資格を持った友人たちだが、その数は知れている。
サラリーマン時代に取った国家資格を、定年後に生かそうとしても、現場とのかい離が激しく、物にならない。
やはり、人の話を聞いて、その解決策を提案できるコンサルタントであれば、生涯現役も可能。
しかし、国家資格である税理士なども、法律の改正などに常に注意をしていないと、思わぬ落とし穴にはまる。
現に、消費税の届け出で、顧問先に大損害を与え、身銭を切って賠償した団塊の世代の税理士も出ている。
こんな状況を見聞きした税理士さんから、自らの定年を70歳と決めて、事前の相談がこのところ増えている。
親族ではない後継者・資格者がいる先生も、金銭的な面でどんな問題があるのか、聞いてくる人も。
数年前だと、後継者がいる税理士さんは自ら外に相談することもなかった。
なぜ、他人の意見を聞くようになってきたのかと分析してみると、質問内容は金銭面の悩みが主流。
言ってみれば、所長さん自身が、主導権を握った話し合いができなくなっている可能性が高い。
つまり、後継者になる税理士を説得できなくなっている、自己の主張を認めさせられなくなっているのか。
自らが長年苦労して、顧客を創造し、収益態勢を確立してきたのだが、後継者にはその気力がない。
後継者として、自らの方針を明言し、引退する先生に引導を得渡せる人も少なくなっているようだ。
こうなると、承継するに際して、その対価を明示して、所長を安心させることができない状況がある。
後継者に対して、対価をはっきり主張するのに遠慮があるのかもしれないが、そこははっきりすべきだ。
それだけの対価を支払うことができないのであれば、後継者も手を挙げるべきではないだろう。
棚ぼた式に、お客様とその報酬が手に入ってくるなんて都合のいいことはありません。
相談を受けると、当支援室では、はっきりと、金銭を要求したほうが後々のためにも良いと言います。
その背中を押した結果、引退する先生がどうするかまでは、もちろん追求はしません。
でも、個々の状況がありますから、どうかお気軽のご相談ください。相談は無料ですから。
事業承継支援室長
大滝二三男