以前、名義借りをしている資格者(税理士ではもちろんありません)から、税理士事務所への事業承継を手伝ったことがあります。
その時は、税理士に売り上げの20%を支払っていました。確定申告後の源泉税の還付と月々の給与として併せて300万円くらい、支払われていました。
名義貸しをしていた先生は相当高齢でしたから、年金とその名義貸し料でまあまあの生活をしていましたが、名義貸しを辞める時に奥さんからクレームがつきました。
それというのも、事務所のお客は税理士のものだという主張でした。奥さんが言いたかったのは、辞めるにあたって退職金相当額をよこせということでした。
しかし、この主張は通らず、名義貸しの終了とともに、税理士さんも登録を辞めています。実際には、借りていた事務所ですべて事務がこなせていたので、判子だけの責任でした。
これ事例は、報酬から考えるとかなりいいように思います。売り上げが1500万円程度でしたので、それも借りていたほうが家族で運営していたので、300万円払っても相当に残りますからオンの字でした。
つい最近、ある地方から連絡があり、お会いしてみると、あっけらかんとしたもので、名義借りを認め、そろそろ辞めたいので、どうしたらいいかといった相談でした。
当支援室では、ご本人が法律違反をしていることを認め、いつまでもこの状態を続けるわけにはいかないことを十分理解し、お客さんの面倒を見てくれる税理士さんを紹介してほしいとの要請でしたので、応援しました。
かつて、名義貸しをする税理士を紹介してほしいといった猛者もいましたが、今回は自分はきっぱり身を引き、正規の税理士さんに顧客を紹介したいということでしたので、お受けしたわけです。
もちろん、承継する税理士さんもその方の”実力”を十分に把握し、これまでの事務に間違いがないかどうか、さらにお客の期待度などもチェックしたうえで、事務所としてお客さんを引き受けることを決めました。
その名義借り料がなんと月10万円。ほぼ源泉税に匹敵する金額でしたが、税理士さんはほとんどなないもせず、ただ判子を押していたのみだと言います。それにしても、借りる方としては”いい先生”でした。
しかし、税務調査に際しても、事務所の職員が対応し、税理士さんは表に出ることはなかったそうです。それにしても、こういった現実がまだまだあるんですね。ちなみに名義貸しをしていた先生は国税OBでした。
ニセ税理士追放を声を大にする国税当局には、この名義貸しを止めさせるべき、厳しい対応をしているのですが、なかなか表に出てこないこともあって、追放活動にも成果があまり上がっていないようです。
当支援室では、このようなケースを見つけた際には積極的に正規の先生にお願いするように”指導”しています。
巷では、多くの場合、税理士の父親が死亡してやむなく名義を借りているといいますし、同じ支部に属している先生方もうすうすその事実をつかんでいますが、確証が得られないので、口を閉ざすことになるようです。
しかし、貸している方は当然”お金”目当て。ひょっとすと、貸していう方が悪いのかもしれません。数年前にドラッグストアの薬剤師名義貸しも話題になりましたが、税理士の方が根は深いようです。
事業承継支援室長
大滝二三男
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