一概には言えませんが、何時も書いているように、先生の腹が決まっていればすぐにも完了です。
具体的な取り決めができれば、契約となりますから、承継者と面談してから一月あればOK。
実はその間に様々な人間模様が現れます。
なかには、「今回の話がまとまらなければ、私は先生と離婚します」と言った奥さんもいます。
この方、後妻さんですが、日ごろから旦那さんの、自分しか信じていないその生き様に、失望。
しかも、信じているのがお金。子供までも愛想が尽きて家を出て行き、事務所経営にもグッバイ。
事務所の後継者となるべき息子さんからも引導を渡されています。
職員の給与は、「会計事務所の職員の給料は安いんですよね」と言うとおり、平均よりもダウン。
しかし、そんな先生でも魅力があるんでしょうね。職員は朝早くから遅くまで頑張っています。
この先生の場合、当事務所から話があってから2年も時間がかかりました。
というのも、話が進んでいくうちに、「この話はなかったことにしてください」と言い出します。
具体的に聞いてみると、話を中断する理由がほとんどありません。
自分の事務所が他人のものになることに、未練がいっぱいなのです。
そう腹が決まっていないのです。
奥さんは先生の歳を考えると、税理士を辞めてのんびりしてほしい、さらに新婚旅行にも行きたい。
実は結婚して2年。後妻に入ったものの、新婚旅行にも連れて行ってもらってない状態。
当支援室に話があったのは、もう歳だからいい相手があれば、事業承継したいというのがその動機。
相手を探し、了解も取りました。事業承継の対価も甘く評価をし、種々の条件もすべて飲みました。
それでも、途中で「今回は諦めます」。何がなんだかわかりません。
奥さんの「この話がまとまらなければ、私離婚します」の言葉に、当方も先生を説得しました。
もちろん、奥さんの言葉を先生には言っていません。
結果、2年かかり契約完了です。
でも引継ぎでは、相当苦労し、今現在も混乱が続いています。
今回は、ほとんど失敗と評価する事例を紹介しました。
人格がはっきり出ます。いわば人生の最終章に近い先生にはありがちなことです。
晩節を汚すということがありますが、政治家だけでなく、誰でもそういう時があるようです。
ご自身は感じていないかもしれませんが、世間はしっかりと見ています。
先生の一番近くにいる人が、まさにその人です。
この先生の承継完了日は、果たしていつになるのでしょうか?
まだわかりません。正直な話。
事業承継支援室長
大滝二三男