年老いた税理士さんが後継者がいないために、事業承継をする際に、一番の”障害”となるのは職員。
「所長は高齢でも、我々がしっかり日々の業務をやりますから、このまま続けてください」
と、職員たちが”大合唱”すれば、先生も心動かされ、事務所を他人に渡すことはしないかもしれない。
そう考えるのは、職員サイドの話。
税理士稼業40数年、もう限界ですという、高齢の先生をそのまま所長にいただいておくのは酷。
もちろん、職員たちの主張も理解できる。新しい先生とは何のコネクションもなく、果たしてうまくいくのだろうか。
こう考えるのは、至極当然の話。
それでも、職員として事業承継を認めても(おかしな話だが)、譲れないこともある。
それは、これまでなじんできた会計システムとの”別れ”。
会計業界の3大システムと言えば、T社、M社そしてJ社。
事務所の規模が大きくなればなるほど、各社のシステムに慣れきった職員の”愛着”は半端ではない。
仕事そのものも、これらのシステムを駆使してのもの。
これらは各社の営業方針から、”相互乗り入れ”ができないようになっている。
そのため、大手事務所との経営統合に際して、同じシステムを使っているかどうかが大問題に。
異なるシステムを使っている場合には、吸収する側のシステムが優先される可能性が高いのは明らか。
長年慣れ親しんだ会計システムから他に乗り換えるには、職員の”拒絶反応”を覚悟しなければならない。
もっとも、経営統合と同時にシステムを変更することには、ほとんどの場合あり得ない。
コストもかかるし、新しいシステムに慣れるまで、業務が停滞する可能性もある。
したがって、当支援室では、システムを変更しなくて済むように、統合の相手を探すことになる。
これまでにも、当支援室ではこのような事例を数多く扱っているので、解決策は万全。
職員の立場からすれば、新しい若い先生に経営権が移れば、それだけ雇用の期間は伸びるのは明白。
所長が代わること、そこは我慢。お客様に対するサービスを向上することが、新たな繁栄の道。
税理士事務所で一番の”守旧派”は職員と言われるが、承継後はそんなことがないよう腹を決めましょう。
事業承継支援室長
大滝二三男