先日の情報交換会で、”なるほど”と感心した話がありました。
それは、従来からの顧問先に、新規のお客さんを紹介してもらう方法です。
多くの税理士事務所では、”ご紹介キャンペーン”を行っています。
その中身は、謝礼として、温泉や海外への旅行に招待したり、中には現金を渡す事務所まであります。
それで大いなる効果があるかと言うと、初めて実施した時には物珍しさもあって、まあまあの実績が出ます。
ところが、2年3年と続くと極端に紹介が少なくなり、一巡するとまったく効果はなくなってしまします。
なぜでしょう?
そこが今回の話のみそ。
そこにキャンペーンで商品を出すから、客を紹介してほしいと言われても、なにも謝礼がほしいわけではない。
社長さんたちもプライドがありますから、そうお考えであれば、賞品が良くても動きはしません。
そこで、こんなキャンペーンは一切やめて、社長さんに一声かける活動を地道に行っている事務所があります。
この事務所はネットで華々しい営業活動をしているわけではありません。
顧問先に臨場した折に、それとなく社長さんに「社長、お客さんを紹介してください」と必ず声をかけます。
社長さんたちは税理士事務所は忙しいものと思い込んでいます。
ですから、これ以上忙しくなったら大変だろうと、紹介したくとも”我慢”をしているのだと言います。
その結果、ぼつぼつ顧問先からの紹介が増え、この2年間で毎月5件増、開業6年で350件余りの顧客を獲得。
もちろん、職員にはモラールを上げるために、実績に応じて給料もアップ。まさにWIN,WINです。
このような活動をしているところでは、新規顧客獲得に自信がありますから、事業承継には手が回りません。
同時に、社風から言っても、委譲する側もなかなか「良し。お願いしよう」とはならないようです。
それにしても、実際に一声かけるにも、それなりの勇気が社員にも必要になるでしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男