企業の寿命30年説というのがあったように思いますが、ここ数年このような”定説”は通じないようになっています。
そういえば、”定説”という言葉を流行らせたのは、確か新興宗教の教祖にして、職業は税理士さんだった?
その税理士稼業の寿命だが、税理士資格を取得する年齢によって、事務所の寿命には”定説”はない。
それでは、税理士さんが、資格を返上する年齢は? と、訊ねてみても、やはり、的を射た回答は得られない。
自宅を事務所にしている税理士さんは、顧客を減らしても、ボケないようにと、先生を続ける人が多い。
歳をとると、長年続けてきた仕事に関連した知識は忘れない。ただ新しい情報が入らなくなるのが、常識。
そこで、難解な税法解釈や会計に関する高度な知識を要求する顧客は、自ら断り、他の先生を紹介することも。
その後は、簡単な記帳代行や税務申告に”特化”して、事務所経営を続けることになる。
しかし、手書きの時代ならそれもできたであろうが、今やすべてコンピュータの時代。職員なしで、仕事は不可能。
それでも、資格を返上せずに、税理士さんは頑張る。
ここには税理士稼業の寿命はないに等しい。言ってみれば、先生の寿命が税理士稼業の寿命なのかもしれない。
先だっても、「お蔭様で、事務所開設30周年を迎えました。さらに一層頑張ります」といった挨拶をいただいた。
もっとも、サラリーマン生活40年を超える人が多くなっている現在、先生だって40年以上やりますはね。
30年なんてまだまだ、そんなに簡単に税理士を辞めてもらっては、職員だって高齢者は不安です。
「所長が辞めても、若い先生が継いでくれれば、われわれの職場は維持できます」とは、職員の声でした。
事業承継支援室長
大滝二三男