ある地方の有力事務所。後継者と決めた職員が試験科目2科目を残し、受験を断念!
所長も後期高齢者に足を突っ込んでいるだけに、職員のことを考え、事業承継を決意。
参考意見を聞きたいということで、数か月前に事務所を訪問。
職員が休みで、相談内容が漏れる心配がない土曜日に伺った。
職員一人あたりの売り上げは、1000万円を超える優良事務所。
女性職員も含めて、ほぼ全員が担当をもち、決算から申告書作成までこなす。
さらに営業日を決めて全員が最低3か所の事務所を訪問し、紹介を受けることを徹底。
その甲斐あっての一人1000万円超を売り上げ、各人に奨励給も支給されている。
相談が進むうちに、所長先生が地元出身ではなく、その地方の大学を卒業。
東京に出て、サラリーマン生活を送っていたが、あるきっかけで大学のある都市に舞い戻った。
そこで一念発起して税理士を目指すこととなり、隣町のある税理士事務所に就職。
3年間勤務しながら税理士試験に挑戦、見事合格し、独立することに。
実はその3年間いた事務所こそ、世間が狭いと言わせて事務所。
5年ほど前、先生が不治の病に倒れ、事業承継することとなり、私が担当に。
事務所の内容は実にすばらしく、職員全員が顧客の経営指導まで行っていた。
相続税の申告ももちろんのこと、第二次相続までプランに入れた対策も実践。
「隣町にすばらしい事務所がありますね」とその事務所の話をする。
そこで先生から出た言葉は「○○先生の所ですね。大滝さんが担当されたんですか?」
「はい、地元の有力な事務所さんとの経営統合を仲介しました。」
そして、○○先生の話をしていると、「実は私はあの事務所、○○先生に育ててもらったんです」
○○先生の事務所を案件を仲介したことを知った先生は、「大滝さんにお願いします」の一言。
それも、話が終わって玄関まで送ってこられた時の最後の言葉。
急な話にこちらも戸惑ったが、とっさに「よろしいんですか?」と訊いてしまった。
「○○先生ことをやっていただいたからには、私もぜひお願いしたい」
実にありがたい話で、通常は一切個人の名前は出さないのだが、この時ばかりは言って良かった。
それから2月もかからないうちに経営統合が実現。本当に世間は狭いと感じた次第。
実は経営統合した先生も、若いころ、毎月のように同じ隣町の顧問先を訪問していたという。
なんとこんな話があるんですね、本当に世間は狭いですよね。気を付けましょう!
事業承継支援室長
大滝二三男