昨日の続きです。税理士事務所の大半は個人事務所です。
その昔は、税理士試験を受けている若い職員を薄給で雇っていました。
その薄給の理由が、たとえば、試験休みや勉強のためにいろいろな優遇措置を講じ、普通の職員に比べて業務の内容も軽くなっている、というもの。
でも、その職員が資格を取得すると、給与も高くしなければならない。
また、当然独立するときにお客さんを持っていってしまうかもしれないので、そうなる前に辞めてもらう、という慣習が存在していました。
もちろんそれには一理ありますが、本当の理由は、先生と呼ばれる”権威”は所長一人で十分。事務所に税理士は二人は要らない、という考え方が普通でした。
こうなると、所長一人が資格者ですから、税理士事務所のゴーイングコンサーンなんて、どう考えても、ありえません。
しかし、平成14年の税理士法人の誕生から、足掛け10年。税理士法人からゴーイングコンサーンを求める動きが出てきています。
この流れの先輩格が、監査法人。その監査法人制度が誕生しておよそ40年。日本の監査法人世界規模のビッグ3のグループの一員として、グローバルな動きを展開しています。
仕事の中身からして監査法人と同様な展開は考えられませんが、その発展経過は多分同じような流れとなるでしょう。
ゴーイングコンサーンを考えない税理士法人に、若手税理士たちは見向きもしなくなるでしょう。
若い税理士が独立をして、十分な収益を計上し、右肩上がりに事務所を発展させることは至難の業であることを誰もが知っています。
それだけに、今ある税理士事務所の所長さんが引退するときに、その事務所を引き受けられる人材も、その意気込みを持っている人材も、今後はそんなには出ないでしょう。
超大手の税理士法人に人材が集まります。そして、彼らは大型税理士法人の中で、サラリーマンのように、パートナーとなるべく切磋琢磨していくことになります。
この5年で、これらの傾向はますます強くなるでしょう。個人事務所が闊歩する時代はもう過去のものとなりつつあります。
事業承継支援室長
大滝二三男